2017 Fiscal Year Research-status Report
日韓米のICT企業の事業戦略・研究開発戦略の比較検証
Project/Area Number |
17K03944
|
Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
朴 唯新 県立広島大学, 経営情報学部, 准教授 (20435457)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 韻如 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (00389404)
上田 昌史 京都産業大学, 経済学部, 助教 (10388423)
中岡 伊織 宇部工業高等専門学校, 経営情報学科, 准教授 (50469186)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 研究開発戦略 / ICT企業 / 三星電子 / パナソニック / ソニー / Google / Apple / LG |
Outline of Annual Research Achievements |
日本のICT企業が国際競争力を回復するためには、世界的な優良ICT企業の事業・研究開発戦略と比較検証することが重要である。なぜなら、日本のICT企業の問題点として、せっかくの研究開発成果(特許など)が企業成果(投下資本利益率)に結び付かないことなどが指摘されているからである。本研究においては、日韓米のICT企業であるパナソニック、ソニー、Samsung、LG、Apple、Googleの2000年代以後の主要なICT製品の事業・研究開発戦略の長所と短所について、インタビュー調査や取引・資本関係、市場占有率、財務情報などによる「非特許情報」と社会ネットワーク分析とテキストマイニングなどによる「特許情報」の解析を用いて動態的・複眼的に比較検証することで、日本のICT企業に有効な事業・研究開発戦略を探索することを目的とする。本研究の手順としては、①各社の事業戦略・研究開発戦略を可視化し、各社のポジションの全体像を理解する。②事例研究として日本のICT 企業であるパナソニック(垂直統合・活用型)、韓国のSamsung(垂直統合・探索型)の事業戦略・研究開発戦略について比較検討することである。 平成29年度にはまず,理論レビュー・分析枠組みの構築として日本のパナソニック・ソニー,と海外のSamsung・Apple の特許データベース構築の準備を行った。理論レビューでは朴、陳、上田と国内外の研究協力者による共同研究会を開催し、日本のICT企業に有効な事業戦略・研究開発戦略についてモデル化を試みている。特許分析に関してはPatent Integration 社の特許分析ツールで各社(主にパナソニック、Samsung)における特許データベースを構築し、社会ネットワーク分析とテキストマイニングにもとづく分析を試みた。さらに、国内外研究協力者の協力のもと、日本、韓国のICT企業について聞き取り調査を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画では、先行研究の精査や探索的事例研究、社会ネットワーク分析を準備することを目的にしていたので、上述した研究実績から「おおむね順調に進展している」と言える。具体的に、先行研究と探索的事例研究を通して、日韓米の情報家電産業について、スマートフォン市場を中心として産業組織論の観点から事業範囲などのモデル構築を行い、パナソニックグループとソニーグループなどについて社会ネットワーク分析・特許分析などを通して研究開発戦略の特徴を可視化し、その特徴について分析を行っている。現在、韓国の三星グループとLGグループの研究開発戦略について特許などのデータを入力・分析中である。その研究成果の一部をInternational Conference of Global Network for Innovative Technologyにおいて、”A Study on Technology Development Strategy and Collaborative Relationships Using Patent Information”という題で、発表を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、引き続き理論レビュー・分析枠組みの構築としてソニー・Apple・Google・LG の特許データベースを準備(データクリーニングなど)・構築する。この年度から研究成果の学会発表を積極的に行っていく。事例研究に関しては、陳先生の紹介で日本ICT 企業の調査を実施しつつ、韓国のPho先生の協力でSamsungの聞き取り調査を行う予定である。各社の特許データベースは前年度と同じ特許分析ツールを用いて構築し、さらに、米国の特許データも追加することで、各社の研究開発戦略の動態的変化を捉える。最後に,米国の特許データベースを分析するために、Thomson Scientific 社のAureka を利用し、追加的な特許分析を試みる。
|
Causes of Carryover |
本年度も引き続き理論レビュー・分析枠組みの構築としてApple・ソニー・Google・LG のデータベースを準備(データクリーニングなど)・構築する。特に、米国特許を分析するために、データマイニングの専門家であるUniversity of HoustonのLEE, Minwoo教授を訪問する費用に充てる予定である。
|