2018 Fiscal Year Research-status Report
国内2次3次サプライヤーの海外進出先選定に関する研究
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17K03951
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
井上 隆一郎 桜美林大学, 経済・経営学系, 教授 (70438076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 勉男 桜美林大学, 経営学研究科, 特任教授 (20514178) [Withdrawn]
赤羽 淳 中央大学, 経済学部, 准教授 (30636486)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 2次サプライヤー / 3次サプライヤー / 海外進出 / 現地生産 / 成功要因 / イノベーション / 改善活動 / 現地人材育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、下記の調査を実施した。 1.国内調査:自動車メーカー、大手部品メーカーの海外現地調達状況と、2,3次サプライヤーの海外進出状況について、面談調査を実施した。その結果、海外においては、日系2,3次サプライヤーの現地進出を要請、進出を支援すると同時に、現地のサプライヤーの育成、調達を同時追求してきている。ただし、問題がある。国内サプライヤーの海外駐在人材不足と資金不足、現地サプライヤーの日常的な運営能力、改善能力、VAVEなどの基本能力不足である。 2.海外現地調査:現地においては、調達側は啓発イベントを開催しているが、一過性、イベント時の改善になってしまうサプライヤーが多い。現地サプライヤーは日本人顧問を採用しているが、日常の運営と改善の指導よりも、単に日系の納入先とのクレーム処理の連絡役になっているケースが多く、顧問として機能していない場合もある。現地進出2,3次サプライヤーは、いずれも現地進出によって顧客先の拡大に成功している。逆に、従来顧客のみでは、量的確保、受注変動対応などに問題が生じる。顧客先を拡大しなければ、現地では生き残れないということを意味する。新たな顧客先、製品分野を海外現地で積極的に拡大したサプライヤーは、海外現地の仕事量の確保をするだけではなく、国内での取引の幅の拡大にもつながっている。また、駐在日本人の数に大きな制約があり、多くのサプライヤーでは1、2名である。顧客拡大と運営能力は、この人材で決定する。現地人材育成が最大の課題である。 3.対外発表:研究の成果の一部を用いて、研究分担者と共著で『アジアローカル企業のイノベーション能力』(2018年7月同友館)を出版した。また、当該著書は中小企業研究奨励賞准将(経済部門)を受賞した。その受賞記念講演、NPO組織の研究会での報告を行った。さらに2019年度に向けて、対外発表と出版を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代表者及び分担者ともに、現地及び国内調査を順調に進行させている。国内サプライヤー10件以上を実施した。海外現地調査も、東南アジアに加えて、新たにインドを実施することができた。おおむね予定通りである。 国内調査:調達側調査では、自動車メーカー(トヨタ自動車、本田技研)、大手部品メーカー(デンソー、ケーヒン)を実施し、2017年度の調査に加え、さらに詳細な情報を得た。2,3次サプライヤーでは、未進出企業を中心に、機械装置メーカーなども加え、進出の意思、必要性の認識、進出の障害などへと調査内容が展開できた。 海外調査:当初予定していたインドネシア調査は未実施だが、インド調査を敢行し、現地サプライヤーと日系サプライヤーの競合状態について調査研究を広げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
国内調査:さらに新たな2,3次サプライヤーの調査を展開し、サンプルを増やすとともに、既調査企業に対しては、調査結果のフィードバックを行いながら、調査内容の精度を向上させる。 海外調査:中国、インドネシア調査の実施を予定している。これにより、東南アジア、南アジア、東アジアと、日系企業の展開において、主要地域の全体像を把握することができる。 対外発表:産業学会、組織学会、経営学会において、今回のテーマでの報告を予定しており、多くの研究者との討議を踏まえ、研究内容を、精緻なものとしていく予定である。また、分担者と共著の形で、当該学会誌への論文発表と著作の執筆と発刊を予定している。また、年度後半にはセミナーの形で、サプライヤー、調達メーカーに対して研究内容を公表し、研究へのフィードバックを図るとともに、研究内容の社会への還元を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた中国、インドネシアの調査が実施できなかった。 また、予定していた学会発表が未実施だった。
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