2019 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the evolutionary aspect of technology management in the era of big change
Project/Area Number |
17K03953
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 秀穂 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (00378712)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大転換 / 技術経営 / 前適応 / 特許 / 隣接可能性 |
Outline of Annual Research Achievements |
写真フィルム業界における大転換期の技術経営進化に関する知見を、さらに他業界で検討すべく昨年度に着手した楽器業界の分析を進めるとともに、繊維業界についても分析を行った。分析に供するため、特許データのIPC情報から技術集中度を解析するソフトウェアを、Java言語を用いて作成して分析に用いた。 楽器業界もデジタル化の中で大きな変革を求められた業界であり、昨年度実施した関係者へのインタビューなどから技術経営の前適応現象が観察されることを期待した。楽器業界も2000年前後に大きな変革を迫られ、事業のグローバル化とデジタル化が事業に大きな影響を与えた。そこで、上述のソフトウェアを使用して、特許データのIPCの種類数、Herfindahl-Hirschman Indexを求め、各企業の財務データとも比較しながら同時期の状況を分析した。その結果、分析対象とした二社のうち一社では若干の技術多角化が見られたものの、もう一社では変化はなく多様な分野への技術投資を、2000年をはさんで継続して行っていた。業績は多様な技術に投資していた企業の方が高かった。前適応としての技術多角化は見いだせなかったが、多様な技術投資を継続して行っていた企業では、技術融合による新商品開発を誘導するための仕掛けがあったことがインタビューなどから確認された。 さらに繊維業界についても同様の分析を行った。繊維業界は天然繊維、合成繊維ともに1980年代以降から生産量が低下し、多角化を図りながら生き残りを模索してきた。ただし、繊維業界の変化は写真フィルム業界のような短期間で極端な環境変化ではないため、長期視点での分析にとどまる。業績が伸び続けた企業、伸び悩んだ企業、停滞した企業の三社を選択して分析したところ、業績の伸びと長期視点での技術多角化に関係がある可能性が見いだされた。
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