2019 Fiscal Year Annual Research Report
System Dynamics Application to Developing Management Strategies
Project/Area Number |
17K03955
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
高橋 裕 専修大学, 商学部, 教授 (70317634)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | システム・ダイナミクス / 経営戦略 / リソース / 意思決定 / 環境 / キャパシティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではシステム・ダイナミクス手法を企業経営における戦略立案に役立てるための方策について研究を行った。 当初の問題意識として、経営戦略を策定するにあたって、企業の経営者や企画担当者は財務指標を重視する傾向が強いものの、多くの財務指標はある時点での企業の状態を表すことに役立つものであり、戦略策定に必要な「どのような経緯で現時点に至ったのか」「このままの戦略だとどうなるのか」「改善するための方策は何か」といった問いへの答えを示すものではないという考えがあった。こうした問いに答えるためには、時系列の経営リソースの推移について因果関係をベースにした記述で定量的に企業活動を描く必要がある。時系列の分析は、時系列回帰分析や事例研究など、さまざまになされている。しかし、戦略の立案からそれに基づく企業行動とその先にある結果までは、実際の因果関係や組織内外の環境の状態によって決まってくる。したがって、ある種の傾向を見出す回帰分析的な方法や個別の企業により異なる環境と不可分な事例研究では、一般的な知見を得ることは難しい。そこで本研究ではコンピュータ・シミュレーション手法の「システム・ダイナミクス」を用いて、効果的に経営戦略の策定を行う方法を研究した。 結果として、システム・ダイナミクスが重視するリソースの定義と表現を適切に行うことにより、戦略策定に貢献できるモデルが作れることが明らかになった。システム・ダイナミクスを用いたモデルでは因果関係や意思決定のルールが明示されるため、意思決定者とステークホルダーの間で、問題認識のすり合わせや相互確認が可能となることも分かった。一方で、この「適切な表現」を行うことにはまだ方法論を整理する余地が大きいことが分かった。
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Research Products
(9 results)