2017 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Ethical Leadership from Organizational Politics Perspective
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17K03961
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
木村 琢磨 法政大学, キャリアデザイン学部, 准教授 (30454549)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 組織内政治 / 倫理的リーダーシップ / イシュー・セリング / 制度理論 / レトリック |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、倫理的リーダーシップと組織内政治に関する研究を中心として文献調査を行い、研究の最新動向をまとめ、リサーチ・ギャップの明確化と実証研究のための枠組みを検討した。文献調査の結果、実証研究を実施するうえで基礎となる、いくつかの重要概念と理論的枠組みが明らかになった(例:イシュー・セリング、正当性、レトリック、制度理論)。 文献調査に加え、本年度は予備的インタビューを行った。年度当初は理論モデル構築のためのインタビュー調査を予定していたが、文献調査に予定していた以上の時間を要したことと、現在日本企業が「働き方改革」など倫理的問題に関して大きな変化の過程にあることを考慮して、本年度は最終的なインタビューではなく、予備的なインタビューを行うことにした。 予備的インタビューは主として企業の人事部門のミドルマネジャー層に対して行った。調査結果の仮のまとめとして「ミドルアップによる人事課題の推進」と題するワークショップを企業の人事担当者を対象として開催し、理論的枠組みや重要概念に関して議論した。この議論と上記の文献研究のまとめを併せた考察を現在、論文としてまとめている途中である。 そのほか、本研究に関連する調査データとして、スペインの会社員の業務行動と倫理的風土、政治行動に関する質問紙調査の調査データをスペインの研究者から提供され、本テーマに関連する調査研究として共同研究を行った。この成果は査読制論文誌および国際学会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、文献調査によるリサーチ・ギャップの明確化と実証研究のための枠組みの検討、およびその結果に基づくインタビュー調査の実施を予定していた。文献調査はほぼ予定通りに進捗したが、近年、本研究のテーマに関連する論文が多く発表されたため、当初は年度の前半での完了を計画していたものの、後半にまで及ぶこととなった。また、近年の研究のレビューから、当初想定していたよりもさらに精緻な理論的枠組みの構築の必要性が想定されたため、本年度はモデル構築のためのインタビューの前に、予備的インタビューを行うことにした。 また、本テーマに関連するデータの分析をスペインの研究者から依頼され、本年度の当初計画にはなかった量的データの分析と論文執筆、学会発表を行った。そのため、インタビュー調査の実施のための時間に制約が生じ、本年度は予備的インタビューの実施にとどまった。
ただし、予備的インタビューの結果、本研究の推進上、有用な概念や理論的枠組みが明らかになったため、予備的インタビューの実施は重要な成果につながった。文献調査と予備的インタビューの結果は、仮のまとめとして「ミドルアップによる人事課題の推進」と題するワークショップを企業の人事担当者を対象として開催した。以上の文献研究と予備的インタビューの結果を現在論文としてまとめており、これは次年度、次々年度の実証研究の基礎になると考えている。 以上のように、インタビュー調査の実施に関して若干の遅れは見られるものの、予備的インタビューの実施により実証研究のための枠組みを得ることができたため、3年間の研究全体として進捗を評価すると、おおむね順調に進捗しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は文献調査の継続、およびインタビュー調査、アンケート調査、そして論文執筆、と進めていく予定である。当初計画では、平成30年度は質問紙調査を予定していたが、29年度の進捗と発見事実により、30年度もインタビュー調査から開始する。 質問紙調査では、当初は倫理的リーダーシップ、政治行動、倫理風土をキーとなる変数として含める予定であったが、29年度の調査により、イシュー・セリング、レトリックなどの変数の重要性が示されたため、30年度はインタビュー調査を継続し、仮説モデルの再検討を行う。インタビュー調査により、因果関係の設定、新たな調整変数・媒介変数の発見を目指す。 インタビュー調査は、対象者であるミドルマネジャーが取り組む倫理課題を特定の課題に限定せずに行い、グラウンデッド・セオリー・アプローチ等を用いた質的研究に基づく探索的方法により研究を進める。30年度中に理論的飽和と理論モデルの構築に到達しなかった場合は質的研究の完了を優先する。
アンケート調査は2時点でデータを採取する縦断的方法により行うが、第1回調査と第2回調査の期間は1カ月程度にするため、アンケート調査を最終年度に行うこととしても、研究期間内の完了は可能であると見込んでいる。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査が予備調査のみとなり回数が当初予定より少なくなったこと、および、インタビュー協力者がボランティアでの協力を希望し、謝金の受け取りを辞退したため、人件費の支出が予定よりも少なくなった。次年度は、当該額をインタビュー調査の実施とテープ起こしに伴う謝金支払に使用する予定である。
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Remarks |
本年度の研究成果の仮まとめとして、人事実務家を対象に「ミドルアップによる人事課題の推進」と題したワークショップを開催し、調査結果に関して議論した(2017年12月9日 法政大学にて実施)
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