2018 Fiscal Year Research-status Report
International Comparison of Building Sustainable Competency in Innovation Process of the Long-Lived Company
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17K03965
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
神田 良 明治学院大学, 経済学部, 教授 (90153030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高井 透 日本大学, 商学部, 教授 (60255247)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 老舗 / 持続的競争力 / 変革マネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
老舗企業の革新の事例を、インテンシブなケーススタディで分析した。変革での基本的な考え方を理論化すべく、変革の在り様が異なる事理を選択して、その変革のプロセスを具体的に記述し、老舗企業の変革マネジメントの一般理論に向けて理論的なを構築するとともに、主要概念を抽出し、それらの因果関係に関する仮説を導き出すことを試みている。 すでに、基本的な変革マネジメントのフレームワークに関する理論は整理しつつある。すなわち、環境変化を主体的に評価し、それを自社が培ってきた経営資源、とりわけ無形資産である暖簾や知識・スキルなどを、把握した環境に合わせて再解釈して、環境適応に向けてあらたな企業行動に結びつけることが基本である。しかも、その際に、さらに重要となるのは、そうして捉えた新たな顧客ニーズを意識して、顧客満足をさらに向上させるために経営資源の蓄積・強化を結びつけること、加えてそうした経営資源の蓄積・強化行動が、それを実際には担っている従業員が、その行動をとることで職務満足を獲得できる仕組み・仕掛けになっていることが不可欠である。つまり、顧客満足と従業員満足を連動させた資源蓄積・強化行動になっていることが必須条件となる。 こうした経営資源再定義、顧客満足・従業員満足の連動化としてのプロセスとしての企業変革マネジメントを整理した。とはいえ、この理論的フレームワークを充実させ、より説明力のある理論的な仮説を構築するためには、さらにケースステディを積み上げる必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論化を図るためには、基本的な理論的フレームワークと作業仮説を事例研究から導き出すことが求められる。この意味でインテンシブなケーススタディーが不可欠となる。すでに、これまでの研究から、老舗企業の変革マネジメントは、様々あり、そのどれもが事業の存続にプラスの影響を及ぼしていて、それらの変革パターンの相違は統計的に見て永続年数には影響を与えないことは究明している。そのため、いくつかの変革パターンを抽出して、それぞれの変革行動の推移と考え方整理した後に、共通性と異質性を分析し、理論的な仮説を拘置することが不可欠である。今年度の研究は、このケーススタディ研究に焦点を当てていて、この意味で、研究としてはほぼ、計画に沿って進んでいると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに、ケースを蓄積して、理論的フレームワークの拡充と、作業仮説の充実を図る。その後に、質問票を作成して、質問票調査に移る。
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Causes of Carryover |
ケースステディを実施するときに、先方への訪問をとることが必要であり、また提供資料を精査してインタビューに臨むこと、また訪問後の資料整理、先方からの確認といった作業に、予定していたよりも時間を要した。そのため、予定通りの企業訪問を実施できなかったことが、大きな理由である。さらに、ケースを積み上げるために、一定の予算を次年度に残すことが必要であろうとの判断も、もう一つの理由である。
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