2019 Fiscal Year Research-status Report
A study on generation process of path dependency for scientific research and an effect of the dependency on R & D for enterprises
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17K03966
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
品川 啓介 立命館大学, テクノロジー・マネジメント研究科, 教授 (70791549)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 経路依存 / 発展経路 / 科学進歩 / 技術進歩 / イノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
自然科学の専門学術領域の研究者集団には、それまでに蓄積された知識に囚われ他領域の進歩や現況の認識を欠いたまま研究に邁進してしまう現象が散見される(以下、経路依存と定義する)。このことを問題意識とし、2019年度は、昨年度末ISPIM FUKUOKA 2019(国際会議)で発表した内容について、見直しとブラッシュアップを行いInternational Journal of Japan Association for Management Systems(査読論文誌)に投稿し受理された("Does path dependency in scientific community shape technological uncertainty?" 2019 年 11 巻 1 号 p. 41-48)。なお、この論文では、先端半導体開発の鍵となる、Extream ultra violet lithography(EUVL)とNanoimprint lithography(NIL)の開発競争を研究対象とし、開発競争の中でそれぞれの開発課程で形成される経路依存が、どちらの技術が半導体産業において主流となるかということに関して不確実性を生じさせていくことに焦点を充てた。両開発に関わる科学論文書誌情報の定量分析とインタビューから、経路依存は知識の累積によって強化されることから経路依存を取り除くことは困難であることを示し、国や企業は、研究開発のポートフォリオを考慮する必要があることを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの影響により、次の論文作成のためにアポイントを取っていた研究機関に所属する科学者、企業の開発者へのインタビューがキャンセルされ、研究にやや遅れをきたしている(現在、先方の混乱も徐々に収まってきたため、オンラインでのインタビューを企画している。)
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、競合する技術開発に関わる研究の経路依存を分析してきた。具体的には、科学進歩において科学的イノベーションが生じている分野とそうではない分野について比較してきた。その際、複数のケースにおいて前者(科学的イノベーションが生じている分野)については、知識爆発が生じており、科学的イノベーションによって経路が変更されていることが確認された。そこで今後は、単に競合する研究の経路依存を比較するだけではなく、科学的イノベーションが生じた研究では経路の変更が起きていることも念頭に、新規性を見いだしていく(研究対象は、これまで同様に青色発光ダイオードにおけるGaN開発研究 vs.ZnSe開発研究、先端半導体露光技術のEUVL開発研究 vs. NIL開発研究、プラズマディスプレイ研究 vs. 液晶ディスプレイ研究とする)。
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Causes of Carryover |
昨年末、投稿を予定していた英語論文の作成過程で、理論を形成するためのインタビュー項目に不足があることを発見した。これにより、研究機関に所属する研究者、企業の開発者へのインタビューを企画しアポイントを確定していたが、新型コロナウィルスの影響で、インタビューがキャンセルになった。以上から、インタビューに関わる経費、インタビュー結果の解釈に必要となる関連書籍費、英語論文の作成費他の使用が中座し次年度使用の必要性が生じた。
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