2018 Fiscal Year Research-status Report
日本企業の海外MBA派遣制度と派遣MBAへの実態調査:派遣目的の変化と退職の原因
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17K03967
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Research Institution | Wako University |
Principal Investigator |
金 雅美 和光大学, 経済経営学部, 教授 (20366967)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | MBA / 日本的経営 / 企業調査 / MBA調査 / オンラインMBA |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、次のような3種の調査を実施することができた。第一に、日本企業約2121社に対するアンケート調査である。その内訳は、1回目の調査での回答企業は50社であった。その概要は、海外MBA派遣制度のある企業5社、現在はないが過去に行っていた企業2社、現在はないが将来は行いたい企業9社、今後も派遣は行わない企業32社、そして不明が2社である。2回目の調査での回答企業は43社。その概要は、海外MBA派遣制度のある企業2社、現在はないが過去に行っていた企業5社、現在はないが将来は行いたい企業2社、今後も派遣は行わない企業34社である。以上のような2回の調査結果に、筆者が個人的に依頼した1社からの回答(制度のある企業)を得ることができた。この調査結果の分析は来年度の課題である。 第2は、アメリカのオンラインMBAに対する調査である。調査対象であるマサチューセッツ大学アマーストのオンライン教育は、歴史が古く知名度が高い一方、これまで成長を続けてきたこの大学も、今後は少しの成長しか見込めないと考えており、競争を勝ち抜くための戦略が重要だと述べていた。このほかにも、オンラインMBAに関する新たな事実が多く判明した。来年度は引き続き、この大学以外のオンラインMBAに対しても訪問調査を継続する計画である。アメリカのオンラインMBA取得者に対する調査も計画している。 第3に、前年度からMBAホルダーに対するインタビュー調査も継続して行っている。海外でも調査を行ったが(香港)、本研究に必要な成果はあまり得ることができなかったのが実情である。そのため、MBAホルダーに対する調査は今年度で終了し、来年度はそれをまとめる計画である。 以上が研究実績であり、研究計画通りの成果をあげることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的には、最初の研究計画書で計画した最も大規模な軸となる企業に対する調査(日本企業に対するアンケート調査)を実施することができたたため、全体の研究計画は順調に進んでいる。しかし、アメリカのオンラインMBAをめぐる状況が激しく変化し、今年度だけの調査では終了することができなかった(アメリカの大学への訪問調査)。そのため、来年度も引き続き、マサチューセッツ州の大学(エンディコット大学とサウザンニューバンプシャー大学)への訪問調査を必要とする。また、文献調査として、エグゼクティブMBAに対する資料検索が、アメリカの大学で必要になる(日本でも検索したが、見つからなかったため)。 そのため、本研究の一部である海外MBA派遣制度をめぐる新たな動向である、オンラインMBAとエグゼクティブMBAに関しては、日本でほとんど既存調査が見つからず、新たに調査を行う必要があることが判明した。そのため、来年度は、今年度に行った企業に対する調査の分析と同時に、新たにオンラインMBAとエグゼクティブMBAに対する調査をマサチューセッツ州の大学(筆者はマサチューセッツ大学アマーストの客員研究員)を基点としながら、調査を行う必要がでてきた。この2点に関しては、来年度の研究成果に期待したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度の研究計画は次の3点である。第一に、今年度に行った企業に対するアンケート調査の分析を行うことである。このためには、企業への分析を共に、MBAホルダーに対する今年度までの調査結果を分析する必要がある。 第2に、本研究の一部である海外MBA派遣制度をめぐる動向として、オンラインMBAとエグゼクティブMBAに対する調査をアメリカの大学で行うことである。とくに両者はアメリカで始まり、日本ではまだそれほど導入が進んでいるわけではないため、日本での調査以上にアメリカでの調査を必要とする。それと同時に、現地でのビジネススクールとMBAに関する文献検索も必要である。日本では入手不可能な文献が多く(とくにエグゼクティブMBAに関する文献)、現地で入手する必要がある文献が多く存在する。そのため、アメリカでの調査を次年度は数回必要とする。 第3に、上述した調査結果をまとめることである。既存研究の調査はすでに終わっているため、アメリカでの調査を継続しながら、本研究をまとめていく作業が従業である。 以上のような3点のすべてを完了することが、次年度の目的であり、研究成果となることが期待される。その後は、この研究成果の発表、出版、講演などを通して、広く社会に成果を還元することを計画している。
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Causes of Carryover |
次年度は、海外でのオンラインMBAとエグゼクティブMBAに関する調査を可能な限り詳細に行いたいと考えているため、年3回の海外の大学訪問費用が必要になる。この理由は、オンラインMBAとエグゼクティブMBAに関しては、アメリカの大学を訪問して、実際に現状を把握しない限り、研究ができないからである。既存の文献もほとんどなく、現地訪問しか祷団がないため、次年度は、マサチューセッツ大学アマースト、エンディコット大学、サウザンニューバンプシャー大学3校への訪問調査とアメリカでの文献調査を行う予定である。 この際に、アメリカ人のオンラインMBA取得者へのインタビューも予定している。そのため、アメリカへの3回の訪問調査が必要である。アメリカ訪問時には、可能な限り多くの教員とスタッフへのインタビューを試みると同時に、その大学の教員と本研究に関する議論も数回予定している。これらの作業によって、本研究をより社会に公表するのに耐えうるものにしたいと考えている。
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