2018 Fiscal Year Research-status Report
中小企業によるグローカルビジネスのマネジメント手法に関する実証研究
Project/Area Number |
17K03970
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
奥山 雅之 明治大学, 政治経済学部, 専任准教授 (90710096)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 美徳 多摩大学, 経営情報学部, 教授 (30388631)
巴特尓 多摩大学, 経営情報学部, 教授 (60636728)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 国際経営 / グローカル / 中小企業 / 地域資源 / 地域産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ローカル(地域性)を活かしながら、グローバル(全世界的)に展開していく中小企業が実施するビジネス(グローカルビジネス)について、グローカル化プロセスの規則性・共通性を探索し、中小企業によるグローカルビジネス特有のマネジメント手法の理論的枠組みを確立することを目的としている。 具体的には、グローカルビジネス特有のマネジメント手法を考察し、グローカルビジネスの実態把握と特性の抽出、ローカルビジネスのグローバル化プロセスの分析、グローカルビジネス特有のマネジメント理論の構築、グローカルビジネスの人的資源管理手法のモデル化を行うものである。 このなかで、2018年度の主たる研究課題は、1)グローカルビジネス特有のマネジメント手法の理論的枠組の構築と、2)グローカルビジネスの資源管理手法のモデル化、であった。 1)については、グローカルビジネス特有のマネジメント理論の枠組として「異質化と同質化のマネジメント」概念を抽出し、論文で提示した。2017年度に実施したアンケート結果を基礎として、追加的なヒアリング調査を実施しながら、本理論の仮説検証を実施した。 2)については、国外で評価の高い製品・サービスを製造するものの、グローバル展開に必要な資源が不足するグローカルビジネスに必要な資源を明らかにし、資源管理手法の実態を調査した。これにより、直接輸出やフランチャイズ、合弁など従来型の進出形態には位置付けられない、新たな進出形態を見出すことができた。これは、今後の研究課題につながるものである。また、グローカルビジネスの一形態であるインバウンド観光客向けビジネス の課題の分析もあわせて実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度の主たる研究課題は、1)グローカルビジネス特有のマネジメント手法の理論的枠組の構築と、2)グローカルビジネスの資源管理手法のモデル化、であった。 1)については、マネジメント手法の理論的枠組の構築を論文(査読付)によって発表できた。また、2017年度に懸案となっていたアンケート調査の分析をほぼ完了した。このアンケート調査の結果によって、マネジメント手法の理論的枠組の仮説は、一定程度定量的に検証された。 2)については、国内外の事例を実地調査し、その分析を予定通り実施した。ただし、こうした事例の分析の深度という意味では課題が残った。とくにグローカルビジネスにおいて、海外での異質化・同質化の管理を行う人材が重要なカギを握るが、多くの事例を収集しながらも、その整理および類型化は今後の課題となっている。一方で、進出形態によっても資源管理手法は異なるが、直接輸出やフランチャイズ、合弁など従来型の進出形態には位置付けられない、新たな進出形態を見出すことができたことは中長期的に研究を発展させるうえで重要な知見となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)グローカルビジネス特有のマネジメント手法の理論的枠組みの検証および修正等 2017年度および2018年度の成果に基づき構築された「異質化と同質化のマネジメント」を中心とした特有のマネジメント理論の枠組について、追加的なヒアリング調査により必要に応じた修正を行い、精緻化を図る。また、2018年度に課題が残った資源管理手法のモデル化を事例を整理、類型化することにより実施する。また、ローカルビジネスの一形態であるインバウンド観光客向けビジネスに関する研究も継続する。 2)研究成果の普及 また、本研究は新たな理論の枠組の構築など一定の成果が出ており、2019年度は3年間の計画期間における最終年度となるため、成果の普及にも力を入れる。地域創生を実施しているNPO法人と連携し、アウトリーチ活動としてグローカルビジネスに関するセミナーをシリーズ化して実施する予定である。
|
Causes of Carryover |
旅費を最安のルートを考慮するとともに、資料についても極力、図書館の蔵書を活用するなど節約に努め、差引次年度使用額がわずかながらプラスとなった。 次年度は、普及活動にも力を入れていく予定のため、当該活動に予算を活用していきたい。
|
Research Products
(2 results)