2020 Fiscal Year Research-status Report
企業と顧客のくちコミの価値共創:ネガティブくちコミのサービス・リカバリー
Project/Area Number |
17K03997
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Research Institution | Chiba University of Commerce |
Principal Investigator |
仁平 京子 千葉商科大学, サービス創造学部, 准教授 (70714492)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 長寿企業 / 老舗企業 / ファミリー・ビジネス / 電子メディア社会 / ネガティブ・くちコミ(NWOM) / SNSクレーム / 製品の安全性 / 企業の社会的責任(CSR) |
Outline of Annual Research Achievements |
日本では、さまざまなリスクを乗り越えてきた創業百年、二百年を超す「長寿企業(創業100年以上の企業)」が多く存在し、アメリカの「老舗企業(創業30年以上の企業)」や「ファミリー・ビジネス」とは異なる日本企業特有の老舗経営哲学や経営理念、さらには、中小企業が多いなどの特質がある。 日本の「電子メディア社会」におけるSNSの普及率の上昇に伴い、日本の老舗企業は、企業と消費者との情報格差の縮小、消費者主権の向上を背景として、消費者の「ネガティブ・くちコミ(NWOM)」や「SNSクレーム」、ネット炎上などを念頭に置いた苦情マネジメントや「クライシス・コミュニケーション(危機管理コミュニケーション)」を導入する必要性がある。 本研究では、日本の食品業界における食品リコールや消費者の顧客不満足によるSNSクレームの増加に着目をして、日本の老舗企業の製造業や製造小売業における苦情マネジメントやクライシス・コミュニケーションの全社的取組みとその普及の重要性を検討することを目的とする。 そして、本研究では、日本の老舗企業の苦情マネジメントや危機管理広報、クライシス・コミュニケーションの先行事例を分析した。これらの事例は、企業不祥事後の日本の老舗企業のロングセラー商品の不祥事報道やブランドリスク・マネジメントについて、製品事故発生の際の初動、不祥事報道後の信頼回復の取組みなど、「製品の安全性」や「企業の社会的責任(CSR)」について示唆がある。 現代では、SNSクレームや日本の食品業界の不祥事報道の増加により、老舗企業のブランドリスク・マネジメントの維持と新たなリスク対応を考慮する必要性を示唆している。そのため、老舗企業は、顧客志向第一主義の観点から事業継続を行うために、消費者のSNSクレームやSNSリスクを念頭に置いた苦情マネジメントやクライシス・コミュニケーションを導入する必要性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究申請時の研究計画では、老舗企業への企業インタビュー調査やフィールドワーク調査、学会参加のために、旅費交通費や企業インタビュー調査などを予算として計上していた。しかし、コロナ禍における新型コロナウィルス感染症の全国的な曼延、緊急事態宣言の発令などにより、調査対象の老舗企業への出張による企業インタビューやフィールドワーク調査の実施が困難な状況にあった。 そのため、研究手法を再検討し、文献研究や事例研究、インターネット・リサーチによる文献資料や二次データの分析へと研究計画を変更した。 今年度は、前年度の研究成果を踏まえて、老舗企業への企業インタビュー調査や消費者調査などの実証研究を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の検討課題として、以下が挙げられる。第一に、本研究では、「製品の失敗」と「サービスの失敗」による顧客不満足を縮減させるために、製品とサービスの概念の特質の違いに着目をする。 第二に、本研究では、サービス・リカバリーやリカバリー満足、リカバリー・パラドックス、サービス・ドミナント・ロジックなどの理論の適用可能性を再検討する。今年度は、くちコミ研究における企業と顧客の「価値共創」として、「プラスの価値共創」と「マイナスの価値共創」の二面性、「共破壊」などの概念や理論を検討する。 第三に、実証研究では、日本の電子メディア社会における「NWOM」や「SNSクレーム」を情報発信する「現代版プロシューマー(情報の生産活動を行う生産消費者)」やインフルエンサーに着目し、大学生などの若者消費者とシニア消費者との世代間比較により、SNS上での消費者のNWOMの情報発信動機、消費者の不満感情の吐露、消費者の不満反応レベルなどのアンケート調査とグループ・インタビューを実施する。 第四に、老舗企業の製造業や製造小売業などを中心に、食品の安全性と社会的責任(CSR)に関わる消費者問題や苦情マネジメントシステム、オンライン・レピュテーション・マネジメント(ORM)の取り組みに関する企業インタビュー調査を実施する。 これらの研究成果は、日本消費経済学会全国大会や危機管理システム研究学会などで学会発表を行い、学会誌や大学紀要などに論文投稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本研究では、くちコミ研究において、サービス・ドミナント・ロジック(S-Dロジック)における企業と顧客の価値共創の分析視点から、企業と顧客の「プラスの価値共創」や「マイナスの価値共創」、「共破壊」の理論構築の可能性を検討することを目的とする。本研究では、企業と顧客の「プラスの価値共創」を前提としてきたサービス・ドミナント・ロジックの概念や理論を概念拡張することも意図している。 そして、本研究では、研究申請時の研究計画では、老舗企業への企業インタビュー調査やフィールドワーク調査などを予算として計上していた。しかし、コロナ禍における新型コロナウィルス感染症の全国的な曼延、緊急事態宣言の発令により、調査対象の老舗企業の所在する地域への出張による企業インタビューやフィールドワーク調査の実施が困難な状況にあった。そのため、研究手法を再検討し、文献研究や事例研究、二次データの分析に変更を行った。
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Research Products
(4 results)