2017 Fiscal Year Research-status Report
Personalized advertising and psychological reactance: An approach from privacy perspectives
Project/Area Number |
17K04001
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
森本 真理子 早稲田大学, 国際学術院, 准教授 (20647359)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | パーソナライズド広告 / プライバシー懸念 / ターゲティング広告 / ソーシャルメディア / 心理的リアクタンス |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究では心理的リアクタンス理論の観点から、ソーシャルメディア上でのパーソナル化されたターゲティング広告(パーソナライズド広告)に対する消費者のプライバシー懸念や反応を調査する。リアクタンスとは、個人が自由を奪われた際、自由を取り戻そうとする傾向であり、広告では選択権のないまま強制的に広告に接する状況に置かれることや、許可なしに個人情報を利用し消費者に広告を提示する行為に対する反応の研究に理論的フレームワークとして用いられている。この場合の「自由を奪われた状態」とは「選択権のない状態」であり、その際消費者は広告主や該当広告に対し否定的な態度や行動を示す傾向にある。インターネット・プラットフォームの多様化が進む中、マーケターによる個人情報のアクセス増加が引き起こすプライバシー懸念や不快感、あるいは不信感の増長という傾向が顕著になりつつあるので、消費者心理を詳細に解明・理解する必要性がある。
本研究は3段階に分けて実施される。平成29年度は、第1段階として消費者のソーシャルメディアやパーソナライズド広告に対するプライバシー懸念や不快・不信感の要因の解明のため、定性調査を実施した。20代から40代までの一般消費者からデータを収集し、分析結果を基に第2段階である定量調査のための質問票に使用する尺度の選択を行った。
定性調査のデータ分析結果によると、消費者の年齢が上がるにつれインターネット上でのプライバシー侵害に敏感になり、プロモーション戦略立案のための個人情報利用に嫌悪感を持つことが判明した。また、若年層の方がパーソナライズド広告に対する抵抗は少なく、購買決定上の情報源としての価値を見出している。全ての年齢層において個人情報のコントロールに対する意識は高い。若年層はメールアドレス等を個人情報とあまり捉えないが、年齢が上がるにつれ個人情報と認識される案件が増える傾向にあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
定性調査のデータ収集・分析作業により定量調査用の尺度選択及び質問票が完成し、平成30年度の活動中心となる定量調査でのデータ収集の準備がほぼ完了した。調査のための学内倫理審査委員会の審査用の書式も完成し、実施承認が下り次第データ収集に取り掛かる予定である。
また、文献調査の一部をまとめ、平成29年度に東京で行われたAmerican Academy of Advertising Global Conferenceにおいてソーシャルメディアを含むインターネット広告と消費者のプライバシーに関する日本での法環境についての発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、学内研究倫理審査委員会の承認が下り次第、第2段階である定量アンケート調査のデータ収集を開始。American Academy of Advertising Annual Conference, Association for Education in Journalism and Mass Communication等の学会発表や、International Journal of Advertising, Journal of Interactive Advertising, Journal of Advertising Research等の国際的ジャーナルに論文投稿を予定。
平成31年度は第3段階として第2段階の定量アンケート調査の結果に基づいて作成される架空の広告シナリオをベースとした全実施実験要因計画法でデータ収集の予定。各種個人情報に基づいた広告のパーソナル化(例:人口統計的情報、購買・位置・閲覧記録)と各媒体の組み合わせがプライバシー懸念や不快・不信感、広告態度にどの様に作用するのかを調査する。
データ収集後、上記の学会及びJournal of Advertising, CyberPsychology, Behavior, and Social Networking, Journal of Marketing Communication, Journal of Interactive Marketing等に論文投稿を予定。
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Causes of Carryover |
理由:定性調査におけるアシスタントの業務時間が予定より短かったことと、英語論文校正費用を計上しなかったため。残金は平成30年度の研究に繰り越し予定。 平成30年度は定量アンケートを実施予定。 使用計画:調査会社のパネルを利用してデータ収集を行う。論文執筆のための文献収集及びデータ加工の下準備等の研究補助者を1~2名雇用予定。学会参加費、旅費、その他通信、書籍、文具、ウェブホスティング等に助成金を使用予定。
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