2017 Fiscal Year Research-status Report
Research on psychological benefits of brand attachment
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17K04002
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
杉谷 陽子 上智大学, 経済学部, 准教授 (40514203)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ブランド / 態度 / 消費者 / 購買意図 / 文化的自己観 / ブランドアタッチメント / 自尊心 / 孤独感 |
Outline of Annual Research Achievements |
自己とブランドの間の心理的つながり(Self-brand connection)がもつ心理的便益について明らかにするため、本年度は、インターネットを用いた国際比較調査を実施した。調査対象者は、日本、アメリカ、イタリア3か国の一般消費者(25歳~45歳;合計900名)である。彼らに好きなブランド名を一つ上げてもらい、そのブランドに関する評価を尋ねた。調査票では、ブランドとの心理的つながりの程度に加え、ブランドの評判に関する認識、購買意図、文化的自己観、自尊心、孤独感などを問うた。データ分析の結果、ブランドとの心理的つながりは、自己観、自尊心、孤独感と様々な関連性を持つことが明らかになった。具体的には、独立的自己観を持つ消費者(米国・イタリア人)において「ブランドとの心理的つながり」は購買意思決定を左右する重要な要因であるのに対し、協調的自己観を持つ消費者(日本人)では購買意図とは弱い関連しかもっていなかった。ただし、自尊心が高い日本人の場合、西洋人同様に「ブランドとの心理的つながり」が購買意図と強く関連することが分かった。 これらの研究成果は、ブランドのグローバル展開に際し、成功した本国でのプロモーションが必ずしも同じ成功をもたらすものではなく、その地域ごとの文化や価値観の違いに配慮することの重要性を示唆するものである。 これらの研究成果を論文化し、次年度行われる国際学会大会(2件)での発表に応募した。 また、本課題につながるこれまでの研究成果をまとめた論文を海外ジャーナルに2本投稿し、うち1本は掲載が決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、3か国の国際比較データを取得することができた。分析結果より、次年度に向けて多くの研究課題が浮き彫りとなった。また、学会および海外ジャーナルでの研究成果の発表についても、予定通り進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
調査から明らかになった知見をもとに、詳細なプロセスの解明に向けた実験を行っていく。なお、予備調査・予備実験において想定通りの結果が示されない場合には、仮説を変更する可能性もある。
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Causes of Carryover |
応募時の金額から減額されて採択されたため、予定していたネット調査を実施した結果、国際学会での発表のための出張費を確保できなかった。残額を次年度に繰り越して次年度の助成金と合わせることで、申請時に記載した国際学会(次年度開催)における発表を実現する予定である。
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Research Products
(9 results)