2018 Fiscal Year Research-status Report
Research on psychological benefits of brand attachment
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17K04002
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
杉谷 陽子 上智大学, 経済学部, 准教授 (40514203)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ブランド / ブランド愛着 / 文化的自己観 / 解釈レベル / 内集団 / 外集団 / 孤独感 / 社会的状況 |
Outline of Annual Research Achievements |
購買意思決定において、自己とブランドの間の心理的つながり(Self-brand connection;SBC)がもつ役割と心理的便益について明らかにすることを目的とし、本年度は実験を複数回実施した。実験では、1)SBCの生起に文化的自己観(自己の認識)が関わっていること、2)購買意思決定におけるSBCの重要性、の2点について検討を行った。1)前年度の研究では、独立的な自己観を持つ消費者においては孤独感が高いとSBCが重視されるが、協調的な消費者は孤独感が高まるとSBCよりも他者の評価を重視した購買を行うことが示されていた。今年度の実験では、孤独感を操作し、独立的な消費者においては、孤独感が高い条件で外集団メンバーが使用するブランドへのSBCが高まり、協調的な消費者では内集団メンバーが使用するブランドへのSBCが高まることを示した。2)消費者の解釈レベルを操作し、人生の究極目標について注意を向けさせる抽象的思考条件において、目標達成のための手続きに注意を向けさせる具体的思考条件よりも、SBCが購買で重視されることを明らかにした。この傾向は、文化的自己観や公的自己意識などの個人差によって調整されることはなかった。 1)の研究成果は、ブランドの購買は文化的自己観によって影響を受けていることを示し、グローバルマーケティングにおいて地域差を考慮することの重要性を示唆している。しかしながら、解釈レベルを操作した2)では、文化差が消失することも示された。消費者は本来、購買においてSBCを重視しており、しかしながら、状況に合わせてそれを表出することを制御している様子が示された。 これらの研究成果を論文化すると共に、国際学会大会(2件)および国内学会(2件)で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究成果を受け、仮説の修正を行い、当初予定していなかった実験を実施した。これにより、研究計画では予定していなかった新しい研究知見を得ることが出来た。論文の執筆や、国内外の学会での発表(4件)も実施できた。研究の進捗はおおむね順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果について、実験を再度実施して頑健性を確かめるとともに、プロセスの解明に向けて新たな実験を実施する。研究成果をまとめ、学会発表を行うことで研究者からフィードバックを得て、論文を執筆する。
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Research Products
(6 results)