2020 Fiscal Year Research-status Report
Research on psychological benefits of brand attachment
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17K04002
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
杉谷 陽子 上智大学, 経済学部, 教授 (40514203)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ブランド / 態度 / 消費者 / 購買意図 / ブランドアタッチメント / 文化的自己観 / 解釈レベル / 社会的影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、消費者がブランドに対して抱く愛着や心理的絆(Self-brand connection; SBC)は、消費者にどのような心理的便益をもたらすのか、購買意思決定にどのような影響を与えるのかについて、明らかにすることである。これまでの筆者の研究では、SBCが購買意思決定へ及ぼす影響には文化差が認められ、とくに文化的自己観が関わっていることが示されている。具体的には、個人が独立した存在としてとらえられている西洋文化圏(例:米国)では、SBCはブランド選択において常に重視される要因であるが、相互協調的な東洋文化圏(例:日本)では、SBCよりも他者の評価が重視されることが示されていた。しかしながら、「真の自己」に基づく意思決定は文化を問わず人に心理的便益をもたらすものであることから、SBCがブランド購買を予測するというモデルは、本来は文化的自己観を問わず支持されるとも予測された。そこで、消費者のマインドセットを操作する実験を行ってこの仮説を検証した。実験の結果、消費者は物事の本質に注意が向けられている状態(抽象的思考)では、文化的自己観に関わらずブランド選択においてSBCを重視するが、物事の副次的側面に注意が向いている状態(具体的思考)では、SBC以外の要因も考慮するようになることが示された。この一連の実験研究は、国内外の関連分野の研究者の協力を得て実施された。本年度は、これらの成果をまとめて国内外の学会大会で発表すること、論文を学術誌に投稿することで、関連分野の研究者からフィードバックを得て、さらに実験を追加することを予定していた。しかし、世界的な感染症の拡大による学会の中止や大学の閉鎖等の影響を受け、目標は達成できなかった。1件の追加実験を実施すること、関連分野の研究者からメールでフィードバックを得て論文の改稿を行うところまでを達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年の夏に渡米した際、関連分野の研究者から本研究に関する重要なフィードバックを得た。さらに別の研究者の協力も得て、2019年末までに3つの実験を追加で実施した。本年度は、当初はこれらの成果を国内外の学会大会で発表し、関連分野の研究者からフィードバックを得て、論文を完成させることを目指していた。そのプロセスで得たコメントを基に追加で実験を実施することも計画していた。しかし、世界的な感染症の拡大による学会の中止や大学の閉鎖等の影響を受け、研究の実施に大きな制約が生じた。追加実験は、年度のはじめに1件実施するにとどまった。学会は中止となり、十分なフィードバックを得ることは困難となった。そこで本年度は、論文の執筆を進めることとし、関連分野の研究者からメールでフィードバックを得ながら、論文を完成させた。また、2021年度にオンラインで実施される学会に応募し、採択された。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の春にオンラインで開催される国内の学会での発表に採択されたため、そこで得られたフィードバックを反映して、執筆済みの論文を海外誌に投稿する予定である。さらに、改稿プロセスにおいて得られるフィードバックに基づき、追加実験を実施することを予定している。
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Causes of Carryover |
本年度は、当初はこれまでの研究成果を国内外の学会大会で発表し、関連分野の研究者からフィードバックを得て、論文を完成させることを目指していた。そのプロセスで得たコメントを基に追加で実験を実施することも計画していた。しかし、世界的な感染症の拡大による学会の中止や大学の閉鎖等の影響を受け、研究の実施に大きな制約が生じた。追加実験は、年度のはじめに1件実施するにとどまった。学会は中止となり、十分なフィードバックを得ることは困難となった。そこで本年度は、論文の執筆を進めることとし、関連分野の研究者からメールでフィードバックを得ながら、論文を完成させた。また、次年度にオンラインで実施される学会に応募し、採択された。学会で発表を行い、そこでのフィードバックを反映して、すでに執筆済みの論文を改稿して海外誌に投稿する予定である。助成金は、当論文の英文校正費用や、改稿プロセスにおいて求められるであろう追加実験の費用として支出する予定である。
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