2017 Fiscal Year Research-status Report

流通チャネルにおける取引関係の開始に関する実験研究

Research Project

Project/Area Number	17K04005
Research Institution	Chuo University
Principal Investigator	久保知一中央大学, 商学部, 教授 (40376843)
Project Period (FY)	2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords	流通チャネル / モチベーション / 実験 / 企業間関係
Outline of Annual Research Achievements	2017年度は、企業間取引の開始に関する経済学的研究と心理学的研究の双方と連結に焦点をあわせて文献研究と実験研究を行った。多くの流通チャネルにおいて、製造業者は流通業者と長期継続性を特徴とする取引関係を形成しているが、既存研究が着目しているのは、取引関係が既に形成されていることを前提とした、その有効性や効率性にあった。そこで2017年度は、企業が取引関係を開始するメカニズムについて、経営学や経済学の既存研究を参考にしつつ、流通チャネル論の有力なモデルである取引費用モデルにモチベーション要因を組み込んだ理論仮説を提唱し、実験を行うことを目的として研究活動を行った。実験室で行われたシナリオ実験の結果、取引関係の形成に大きな影響を与える関係特定的投資以外に、経営者のモチベーション要因も影響を及ぼすことが見出された。ただし、当初に想定していた2つの要因の交互効果は想定通りには見出されなかったため、今後も実験を継続する必要がある。また、卸売業者を対象とした取引関係の継続についてのアンケート調査を行った。このデータについては次年度に分析し、日本商業学会関西部会にて報告される予定である。公刊された研究成果としては、日本語論文が3本（査読付1本、査読無2本）であった。現時点で採択され来年度に公刊される予定の成果として、査読付英文論文1本（Journal of Marketing Channelsに採択。2018年度に刊行予定）、日本語論文1本（『マーケティング・ジャーナル』）がある。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned. Reason 当初に想定していた1年目の実施計画は、実験用のマニピュレーションを行うことと、文献レビューであった。実験については、実験室に被験者を集める実験室実験を6セッション行った。学部学生に対して、企業の意思決定者を演じてもらうシナリオ法を実験室実験以外に、シナリオ法を用いたウェブ実験を行った。これらの成果は2018年度に学術誌に出版される予定である。一方、当初予定していたサーベイ論文の作成は遅れているため、次年度中の完成を目指す。
Strategy for Future Research Activity	2018年度は実験以外にも、企業が提供している有価証券報告書などの二次データも用いることで、実証研究を中心に進める。したがって、研究費は主に、実験室実験の運営費用と、データ収集費用として支出される予定である。
Causes of Carryover	当初想定していた国際学会出張が生じず、旅費に残金が生じたため。