2017 Fiscal Year Research-status Report
ネット小売普及以降の小売国際化現地化戦略モデル構築のための研究
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17K04006
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
小松 雄一郎 (丸谷雄一郎) 東京経済大学, 経営学部, 教授 (60360228)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 小売国際化 / ネット小売 / グローバルマーケティング / アマゾン・ドットコム / メキシコ小売市場 / ウォルマート / メルカードリブレ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度前半は当初の計画通り、新興国市場のうちネット小売普及が相対的に早期に進む、中国、インドなどの市場におけるネット小売に関する既存研究を整理した。その結果を踏まえて、平成29年度現地予定地メキシコ及び中米地峡諸国、平成30年度現地調査予定地チリ、アルゼンチン、ブラジル、平成31年度調査予定地アフリカ市場の本研究における相対的重要性を検討した結果、ネット小売に不可欠な規制緩和が相対的に早期に進み、インフラ整備もなされている新興国の中では先進市場といえるメキシコにおける現地調査の相対的重要性が高いことが判明した。 そのため、メキシコにおける現地調査をより綿密に行うことを決定し、平成29年度前半においてメキシコにおいて現地調査を当初予定よりもより綿密に行った。具体的には現地主要小売ウォルマート、リベルプールといった主要小売業者の店長やネット小売担当者、主要ネット小売企業(メルカードリブレなど)、現地のネット小売の中核を担う配送業者(メックスポストやフェデックスなども含む)、メキシコネット小売の専門家などインタビュー調査を行った。 特に、AMVO(メキシコオンライン販売協会)のゼネラルディレクターに対するインタビューは日本人研究者としては初めて行ったものであり、非常に重要な知見を多く獲得できた。 メキシコネット小売市場は通信規制緩和によるスマートフォンの急激な普及に対応したアマゾン・ドットコムの本格的事業展開開始に伴い、ネット小売が普及段階に入っている状況にあり、普及の障壁となっているインフラ整備の遅れを、既存小売の活用や先進諸国や中南米の他国での知見を活かして取り戻す段階にきている実態を明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度前半における新興小売市場の中の中国インドといったネット小売先進国市場におけるネット小売既存研究の整理に基づいた、メキシコへの現地調査地域の絞り込みと計画よりも資金時間をかけたより詳細な現地調査により、新興国市場におけるネット小売普及条件の詳細と、そうした条件を充たした市場における物流インフラなどネット小売普及に向けた課題や、課題を解決するためにとりうる選択肢を明確にすることができた。 上記のレビューにより、当初の研究計画では調査を行う予定であった中米地峡市場に関しては現地調査を行う重要性が相対的に低いことが判明し、中米地峡市場に関しては短期間での確認が行えることから、平成30年度の南米現地調査と合わせて行うことしたことにより、計画に遅れはなく、一部の現地調査予定の変更はあるもののおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度研究実施の成果により、従来予定していた新興国市場のうち、南米(チリ、ブラジル、アルゼンチン)においてネット小売普及以降のバッグシステム(商品調達・商品供給)とフロントシステム(小売業務)が同時に移転し、創造的連続適応を行いつつある現地小売市場の実態関する現地調査に加えて、中米地峡諸国についても同年度に同時に行うこととした。そして、上記現地実態調査の成果に基づいてフレームワークの確認と修正、研究成果の学会などでの中間報告ならびに平成29年度調査結果の論稿などによる公表を行う予定である。 なお、中米地峡諸国における現地調査の必要性に関しては、相対的に低いため、南米現地調査との相対的重要性を鑑み、資金日程上の制約により実施中止を含めて更なる検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、概算で見積もって前倒し請求をし、実際にかかった費用が若干少なかったためである。 残った資金は平成30年度研究予算に充当する。
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