2018 Fiscal Year Research-status Report
ネット小売普及以降の小売国際化現地化戦略モデル構築のための研究
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17K04006
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
小松 雄一郎 (丸谷雄一郎) 東京経済大学, 経営学部, 教授 (60360228)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 小売国際化 / ネット小売 / グローバル・マーケティング / メルカード・リブレ / アルゼンチン・コスト |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度前半は平成29年度前半に行ったネット小売の既存研究の整理に基づいて確認できた具体的現地調査市場決定方針に基づいて、前年度のメキシコに次いで、ネット小売に不可欠な規制緩和が相対的に早期に進み、インフラ整備もなされている新興国であるアルゼンチン市場における現地調査をより綿密に行うことを決定した。 現地ネット小売現地調査では、ネット小売を統括する団体であるCACE(アルゼンチン電子商取引会議所)の幹部、主要ネット小売企業(メルカード・リブレ、OLXなど)、現地小売の中核を担う配送業者(アンドレアーニ社等)、現地小売専門家(現地物流研究を行う大学教授)などインタビュー調査を行った。 インタビューによって明らかになったのは、ネット小売の地方市場への浸透に関しては、バッグ・システムに影響するアルゼンチン・コストの存在から困難であること、国内よりも周辺国などの展開を重視する状況であった。 特にアルゼンチンコストに関しては、特に政権と対立や連携を持ち強力となった労働組合の存在が強く影響している。特に地方でのネット小売に関しては新たに台頭したメルカードリブレなどのネット小売企業の方が既存の物流事業者や店舗を中心とした小売企業よりアレルギーがあり、結果として国内地方市場より周辺国への展開を重視するという状況を踏み出していた。 同時にアルゼンチン小売市場で重要視されてこなかった地方市場へのネット普及に関する現地実態調査も行った。特に、クロリンダやフフイといった地方市場での現地調査は現地小売専門家も行っておらず、貴重性は高いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由1 平成29年に行ったネット小売既存研究の整理とメキシコ実態調査での確認を踏まえて、平成30年度は当初の予定通り南米主要市場であるアルゼンチンを現地調査対象として絞り混み、綿密に調査を行うことができたことがあげられる。アルゼンチン小売市場での対象者の拡大(このこと自体は想定よりも事前調査がしっかりできたことによるプラスの側面もある)に伴う現地調査領域の一部変更があったが、アルゼンチンネット小売市場におけるこれだけ広範な対象への現地インタビュー調査はほとんど例がなく、一定の評価ができると考えられる。 理由2 上記の現地インタビュー調査と並行して行ったアルゼンチン地方郊外のネット小売事情の実態調査を行ったことにある。アルゼンチンの地方郊外に関しては、現地の専門家ですら実際に訪問したこともない地域を含んでおり、インタビュー調査においてもむしろ状況を調査するために訪問したインタビュー相手から実際の結果を逆質問される程貴重な情報であったようである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は研究最終年度であるため、過去2年で現地調査を行った中南米における知見を踏まえて、中南米と並んでネット小売有望新興市場であるアフリカ市場において現地調査を行い、ネット小売普及以降の小売国際化現地化戦略モデルの構築に向けて、知見を蓄積していく予定である。 特に、メキシコネット小売市場において重要論点であると分かったインフラ整備や教競合環境の急変に伴う急速な変化、アルゼンチンネット小売市場において重要論点であると分かった労働組合など現地の歴史的経緯を踏まえた雇用慣行などの部分と小売国際化現地化戦略モデルの関係については特に重要視して現地調査を行う予定である。 また、最終年度であるため、平成30年度にも行った学会報告(日本商業学会全国大会報告)や論文や書籍発表を平成31年度も継続的に行い、頂いたコメントや批判を踏まえて、最終成果にまとめていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、概算で見積もって前倒し請求し、実際にかかった費用が若干少なかったためである。残った資金は平成31年度研究予算に充当する。
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