Outline of Annual Research Achievements |
中継輸送の定義, 特徴及びトラック輸送システムにおける効率的な帰り荷の確保にあたっての課題を明らかにした。少子高齢化社会の到来により, 長時間労働によるトラック運転手の負担の大きくなる中, 勤務間インターバルを念頭に,中継輸送をより積極的に導入することで, トラック運転手の負担を軽減することで高齢者,及び女性の活用を図る。さらにシフト管理の視点からも運転手の労働環境の最適化を行い, 帰り荷情報の可視化を徹底させれば輸送効率の向上をより一層推進できるのではないかという仮説を立てた。 そしてそのうえでトラック貨物の中継輸送システムの導入について仮説を構築する。 トラック運転手不足及び長時間労働の解消を目的とする効果的な輸送システムの構築, 及びその効果を検証した。効率的なトラック運転手の乗務割を作成することで, 中継輸送システムにおける労働負担をいかに軽減できるか, どれくらい労働力を確保することが可能になるかを勤務条件別のシナリオを立て, 乗務員数,人件費を算出し,少子高齢化社会に適応した輸送システムを明らかにするという作業も行った。トラック運転手不足に対応する中継輸送の増加によるネットワークの再編の検討.物流管理評価指標の活用を念頭に置いた帰り荷確保の検討,トラック運転手の乗務シフトの効率化と輸送安全マネジメントの充実の両立についての検討,並びに安全・安心を考慮したシミュレーションモデルの解析と検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トラック運転手不足に対応する中継輸送の増加によるネットワークの再編の検討については、予定通り、対象企業などにヒヤリング調査などを行うことができた。またあわせて物流センター、トラックターミナル見学などのフィールド調査も行った。 物流管理評価指標の活用を念頭に置いた帰り荷確保の検討についても帰り荷の確保を効率的に行う方策を予定通り検討した。 トラック運転手の乗務シフトの効率化と輸送安全マネジメントの充実の両立については、中継輸送におけるトラック運転手の乗務シフトの効率化を実現するためのモデル構築を行った。なお、モデルについては今後さらに綿密化する予定である。 安全・安心を考慮したシミュレーションモデルの解析と検証については、輸送効率化におけるコストメリット, スケールメリットと輸送安全マネジメントの充実の両立を可能とする現実的な方策を明らかにし, 日本ロジスティクスシステム学会,日本情報ディレクトリ学会などで研究発表・学会誌掲載をとおして提案することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度研究計画は, 次に示す基本研究項目から成り立っている。すなわちまず,ロジスティクス効率化のためのモデル化,前年度に提案した中継輸送ネットワーク整備による効率化策に基づく改善案に加え, 帰り荷確保における荷積み, 荷卸しの作業時間の短縮の効果検証を目的として, コンピュータシミューションを実施するため, 実態に合わせたシミュレーション規模や条件の決定, 並びに定式化の研究を行う。次いで輸送先での作業時間短縮のプロセスを明確化し, 改善案の提案につなげる。あわせて当該作業時間短縮のための指標を作成する。加えて,乗務割作成プロセスの明確化、トラック運転手の乗務割作成プロセスを明確化し、長時間労働の解消が可能となる改善策を明示する。さらにシミュレーションモデル解析とモデルの解析及び検証を行う。提案した荷積み,荷卸し作業の改善策及びトラック運転手の乗務割の効率化策のモデル化を行い,シミュレーションにより検討する。 実際の輸配送の実態に合わせた規模や条件によって定式化し, シミュレーションを行い, その数値結果を解析し, 改善策及び効率化策の効果を検証する。 なお,当該シミュレーションの規模や条件は, 関連統計データに基づき客観的に確定することが望ましいが, これらのデータが入手困難な場合には, トラック運送関連の業界関係者,すなわち, 貨物自動車運送事業者, 貨物自動車利用運送事業者, 並びに倉庫事業者の状況に合わせてヒヤリング調査, 実地調査に加え, 推定値を用いて, 確定することとする。
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Causes of Carryover |
次年度にInternational Congress on Logistics and SCM Systemsの国際学会ICLS 2018(開催国:ベトナム)が開催される。成田からホーチミンまでの費用を当該年度予算に組み入れたがダナン市への物流センター視察等もあり,当初予定よりも費用がかさんでしまい,それを補正するため繰り越し費用をこの不足分に充当する。またシミュレーションを実装するうえでパソコン環境の整備を進める必要性が出てきたのでその費用に充てる。 なお,残額が生じた場合には当該国際学会での発表に活用することを目的として,貨物輸送関連の文献,資料を追加的に購入することを考えている。
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