2017 Fiscal Year Research-status Report
Webを介した企業の購買後対応が文脈として購買意思決定に与える影響の計算論的検討
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17K04010
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
諸上 茂光 法政大学, 社会学部, 准教授 (60422200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東海 詩帆 横浜商科大学, 商学部, 准教授 (20736459)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 購買後対応 / 悪い口コミ / 口コミ動機 / 共感性 / 購買後満足 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の市場において,顧客満足度を高め,同一消費者の購買数や購買頻度を増やすリレーションシップマーケティングが注力されている.リレーションシップマーケティングにおいては,消費者に対する購買後のアフターサービスを含めた対応が重要であると認識されているが,近年では,特にサービスに不満足な消費者への適切な対応が購買後満足度を高め,繰り返し購買に繋がると考えられている. 消費者側についても,サービスに対する不満足の表明行動に変化が見られつつある.国民生活センターへの問い合わせのあった苦情件数が近年減少傾向にあるように,直接企業や第三者機関に訴える消費者は減少傾向にある.一方で,クチコミサイトやSNS上で口コミという方法で商品や企業に対する不満を表す消費者が増えている. インターネット上の口コミを行う消費者に注目した先行研究として,口コミが発信者自身の認知に与える影響(安藤,2015)や口コミ発信者に対して共感他者が与える影響(泉水,2015)についての報告がある.一方,そのような消費者に対するインターネット上での苦情対応として,口コミサイトに投稿された口コミに対して企業が返信する仕組みが存在する.口コミに対する企業の返信については,大沢ら(2010)による企業の返信を構成する内容に関する研究が行われているが,口コミサイトにおける企業の適切な返信の内容についてはまだ十分な研究の蓄積がなされていない. こうした背景から,本研究では,まず,不満を持った消費者によるネット上の悪い口コミ記載に対する適切な企業の返信について検討を行った.さらに,苦情行動については消費者属性の違いや商材の特性の違いによって苦情行動生起に影響があることが指摘されているため,動機以外の消費者属性および商材の特性の違いが返信の効果に与える影響を精査し,変数同士の関係性について考察を加えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,購買後の消費者満足・不満足の表明に対する企業の対応が再購の買意思決定にどのように影響するのかを説明するため,先行研究のレビューを行い,仮説モデルを構築し,実証実験によって仮説の妥当性を部分的にではあるものの示している.これらの成果の一部については学会報告および論文誌(査読中)にてすでに発表を行っているため,おおむね順調に進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
口コミサイトにおける悪い口コミとそれに対する返信のやりとりは対面やメール・電話による苦情対応とは異なり,第三者が購買時に参照することも想定されるため口コミ発信者だけでなく口コミ閲覧者の心理的評価に及ぼす影響についても検証する必要があろう.そこで本研究の次のステップとして,口コミ閲覧者の心理に着目し,口コミサイトにおけるやりとりが第三者の閲覧者の心理的評価に与える影響を検証する.さらに,こうした心理効果のメカニズムを説明できる数理モデルの構築を目指す.
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Causes of Carryover |
成果報告について,今年度は国際学会などでの発表を行う予定であったが,この点について次年度に持ち越しになるため,国際学会への参加費用および国際ジャーナルへの英文校閲費用などが次年度に持ち越しになった.
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Research Products
(1 results)