2020 Fiscal Year Research-status Report
The Customer experience (CX) management in the IoT age - Analysis, Design, Calculus for the Customer Journey
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17K04017
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Research Institution | Nagano University |
Principal Investigator |
木村 誠 長野大学, 企業情報学部, 教授 (40367420)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カストマージャーニー / カストマーエクスペリエンス / 顧客ロイヤリティ / ロイヤリティプログラム / 顧客エンゲージメント / システム・ダイナミクス / シミュレーション / 予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年2月に3rd Asia Pacific System Dynamics Conference(豪国The University of Queensland Business School)発表済である2接触点間カストマージャーニーのシステム・ダイナミクスモデルを、エンティティで構成されるVentityモデルに変換し、同様の結果を得るための手順を日本システム・ダイナミクス学会主催(オンライン開催)JSDカンファレンス2020で発表した(2020年11月4日(金))。その発表の際には、特にOsgood(2019)が提唱する「システムサイエンスとデータサイエンスが相互補完性と相乗効果を持つものと捉えて,問題解決のために両方の活用をはかる学術的アプローチ」であるシステム‐データサイエンスへの適用可能性についても言及した。 昨年度までの研究の中核的な構成概念であったカストマーエンゲージメントのレベルから、顧客ロイヤリティのレベルへと研究の構成概念を移行させた。この構成概念の更新を反映させることで、カストマージャーニーのモデルを再構築した。再構築したモデルとスマートフォンアプリのロイヤリティプログラムの会員数の時系列データを用いて、顧客セグメントシェアと顧客ロイヤリティシェア,集約販売額の近似計算を試みた。さらに市場予測として,不確実性が高い複雑プロセスである顧客行動による需要変動を,ランダムな(あらゆる周波数を含む)ホワイトノイズの1次自己相関ノイズとして定義したピンクノイズをモデルに組み込んだ感度分析のシミュレーションから信頼区間別推定値を算出し,顧客セグメント推移の憂慮シナリオおよび期待シナリオの導出も試みた。この新たな成果を論文としてまとめた。現在、マーケティング系の英文ジャーナルに投稿し、校正作業中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の3分野である「理論研究分野」(先行研究の整理)、「モデル計算研究分野」、「事例研究分野」の全てについて、顧客ロイヤリティを中核概念として再構築して整理し直すことで、うまく結合できるようになった。特に、スマートフォンアプリであるロイヤリティプログラムの会員数の推移の近似計算さらには複数シナリオにおける顧客推移の中期予測まで試みることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間最終年度である本年は、これまでの研究経過を英語論文として全世界に公開できるようにする。より広範囲の研究者および実務家にも研究業績を発信できるように、投稿論文が受理された際には科研費を用いたOpen Access出版の選択も検討する。これまでは、時系列データモデルを参照モードとするモデリングおよびシミュレーション手法としてシステム・ダイナミクスを中心に研究を推進してきた。今後は、統計モデリングによる時系列分析(状態空間モデル等)の併用および比較検討も行う。
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Causes of Carryover |
研究の参考文献となりうる英語書籍を迅速に入手するためにオンライン書店Amazon.comを利用しても2020年度まで勤務した公立大学では、科研費で立て替えができないために個人購入することになり、結果的に次年度使用額が生じる理由の一つとなった。 2020年度まで勤務した公立大学では、職員が作成する議案書システムの遂行により、英語論文の校正サービスを依頼する際にも学内事務処理および相見積に相当の日数を要し、さらには最低見積価格の業者(相対的に低品質)に発注を行うというスキームが確立していた。結果的に科研費を用いた英文校正サービスを利用しても高品質な研究実績を得ることが困難となることが予想されたために、利用を躊躇した。次年度は、柔軟かつ迅速に科研費を利用できる私立大学に移動することで、円滑に研究活動を推進できることを期待している。
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Remarks |
reseachmapに発表スライド内容をpdfファイルで公開。
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