2017 Fiscal Year Research-status Report
異時点間の代替弾力性の推定と自動車消費に関する実証研究
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17K04021
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
布施 匡章 近畿大学, 経営学部, 准教授 (30708053)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 異時点間の代替弾力性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は2019年度までの3年間で下記3つの研究目的をを実施するものである。 (1)イノベーションによる日本経済の活性化を目指すには、家計の消費行動を分析する必要がある。そのために、耐久消費財を考慮した、日本における消費の異時点間の代替弾力性(IES)を推定する。 (2)推定して得たIESパラメータを用いて、近年の耐久財と非耐久財の消費行動をシミュレーションする。近年購買料が落ちている代表的な耐久財である自動車消費行動を、購入しエネルギー代を払うか、レンタカー等でサービスのみ購入するかについてシミュレーションし、消費増税や「エコカー補助金」を中心とした制度変更の影響等をモデル分析する。 (3)分析を通じて、人口減少社会におけるイノベーションにつながる政策について提案する。 1年目終了時の現在は、(1)の現在までの日本のマクロデータを用いた、消費の異時点換の大体弾力性の推定を行い、現在投稿論文としてまとめているところである。その内容は、消費データを安定成長期であったバブル以前(1973年12月から1991年2月)と経済成長が鈍化した91年3月以降に分け、それぞれのIESを推定することで、マクロの景気が個人の消費行動にどの程度影響を与えているのかを確認した。その結果、バブル以降のIESは、失業率の高まりや年金不安等の不確実性が増した場合におこる待ちオプションによる貯蓄性向の高まりの議論と整合的であることが確認された。 また、今年度より実施する(2)についても、自動車消費行動と法制との関係を扱った論文をサーベイし、モデル骨子を考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本における近年の耐久消費財を考慮した、異時点間の代替弾力性(IES)の推定を行うことができたため、当初の進捗予定通りである。その一方で、自動車消費に関するデータセットを作成する予定であったが、マイクロレベルの自動車販売データが存在しないことがわかったため、現在アンケート調査を実施予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は自動車購入のシミュレーション分析に向けた実施準備を行う。内容は、データセットの作成とモデル構築である。消費増税、エコカー補助金、自動車取得税等、関連制度の変化による自動車消費への影響を測定するためにモデルを作成する。
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Causes of Carryover |
分析に用いる自動車の販売データとして、日経NEEDSの『国内自動車メーカーの生産・新車登録データ』を購入予定であったが、このデータには研究に必要な項目が存在しないことがわかったため、今年度アンケート等を実施し、データを作成するか検討中であるため。
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