2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the leaders of the emerging countries for the success of global business
Project/Area Number |
17K04025
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Research Institution | University of Marketing and Distribution Sciences |
Principal Investigator |
白 貞壬 流通科学大学, 商学部, 教授 (60400074)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 小売国際化 / 先端国際小売企業 / 現地新生小売企業 / コストコ / 成熟化している市場 / 有望な新興国市場 / 市場環境 / 国際競争力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「小売国際化に何が起きているのか」という問題が提起されていた。小売業の国際展開において大きく2つの企業主体(先進諸国の先端国際小売企業と新興国市場の現地新生小売企業)が存在しており、それらは競争関係を形成し、現地市場に何らかの変化をもたらしているという認識がその背後にあった。 2019年11月に発行された書籍『欧米小売企業の国際展開:その革新性を検証する』の分担執筆論文「コストコ:会員制ホールセールクラブの創造と国際競争力」では、卸並みの販売量から、その特定の商品カテゴリーを専門に展開している企業の販売額を上回っているコストコを先端国際小売企業の代表事例として取り上げた。そこではコストコがそれぞれのカテゴリーを支配するようになった経緯を含め国内外で培った競争力を、小売業態の変貌や小売企業の国際化行動から論じられている。グローバル競争の中で、コストコが優秀な国際小売企業の仲間入りを果たせたのは、マーチャンダイジング機能を充実させながらも、成功した企業の共通項である低費用・高収益構造が実現できたからである。 小売企業が海外進出先を決める際に、すでに成熟化している市場よりも成長の見込みのある有望な新興国市場のほうを選好しているのは、持ち込んでいる業態コンセプトおよびそれを支える小売システムの強みがより発揮しやすいからである。それに対し、成熟化した市場参入の成否は、市場の飽和化や商品知識および消費経験の豊富な顧客の期待水準の高さをいかにクリアしていくかに依存する。小売産業の発展水準や消費市場の成熟度を問わず、どの国においても小売業の本質に対するえ方には変わりはない。問題は本国と異なる市場環境とのギャップをどうやって埋めていくかであるが、少なくともコストコの事例からみると、その本質さえ押さえていればそのギャップを埋めるためのシステムの柔軟性は高まっていくはずである。
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Research Products
(1 results)