2019 Fiscal Year Research-status Report
レビューデータを用いたマーケット・セグメンテーション手法の開発
Project/Area Number |
17K04029
|
Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
水谷 直樹 岡山理科大学, 経営学部, 准教授 (30330533)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | マーケット・セグメンテーション / レビュー情報 / スクレイピング / ネットワーク分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、消費者の嗜好の多様性を反映した精度の高いマーケット・セグメンテーション手法を確立することにある。本研究では、マーケット・セグメンテーションのためのデータとして、商品・サービスに対して消費者が Web 上に投稿した膨大なレビュー情報を活用することを特徴とする。 研究目標を4つの課題に分けて順次実施してきた。第0課題(レビューデータの収集および前分析)、第1課題(レビューデータの信頼性検証)、第2課題(レビューデータからのマーケティング・セグメンテーション手法の提案)、第3課題(実データにもとづく提案手法の評価)、とし、それぞれ推進してきた。 投稿者個人の嗜好を分析し分類するには、相当数のレビューデータが必要となり、収集には多大な時間がかかった。レビュー件数にして100万件の収集を実施し、データ収集を本年度中に完了した。 そして、レビューデータの中には、信頼できないようなデータが多々存在するため、それら不適当なデータを除去、あるいは補正する手法を適用して、データの信頼性を高める処理を施した。 また、マーケティング・セグメンテーションの手法として、個々の商品、レビュー発信者 それぞれのネットワーク関係に着目したネットワーク分析を取り入れる手法を提案した。映画レビューデータに対して、この手法を適用し、映画作品の分類を行った。マーケティング・データに対して、ネットワーク科学の手法を導入することによって、客観的なマーケティング・セグメンテーション手法を確立することができた。本年度は、研究結果の整理および研究発表を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時間のかかるレビューデータの収集が完了し、マーケット・セグメンテーション手法の提案も完了した。レビューデータの収集は、レビューデータの質の高い映画レビューサイトからのスクレイピングを中心に行った。その他、各種のSNSサイトからデータ収集を試みたが、サイトによっては、全レビューデータを公開せず、一部の特徴を有するデータだけ(最新のデータのみ等)を公開する場合が多く、偏りがあるために本研究に利用できないことが判明する場合があった。本研究を円滑にすすめることのできるデータとして、映画レビューサイトの投稿データは、分量・質ともに充実しており、申し分のないデータ群を収集することができた。 マーケット・セグメンテーション手法の提案については、ネットワーク科学の手法を取り入れることにした。社会ネットワーク分析で用いられるコミュニティ分析の方法を、レビューデータのネットワーク分析に取り入れ、客観的に分類する手法として提案した。映画レビューデータを用いて、映画タイトルのグルーピングを行ったところ、恣意性が入らないタイトル分類を実施可能であることがわかった。これは、一般の消費者がどの映画とどの映画を組み合わせて鑑賞したかという情報をもとに映画を分類していることになるが、レビューデータだけで映画の分類が可能になり、有用な方法と考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
申請テーマにおける目標課題として、(0) レビューデータの収集および前分析、(1) レビューデータの信頼性検証、(2) レビューデータからのマーケティング・セグメンテーション手法の提案、(3) 実データのもとづく提案手法の評価、を掲げたが、(0) から (2) まではそれぞれ完了し、(3) もほぼ目標を達成しつつある。一方、年度の終わりで発表予定の学会発表2件が緊急事態宣言のために実施できなかったことがあり、発表活動が遅滞している。 今後は、目標課題 (3) の提案手法の評価を精緻なものとすること、研究成果の最終まとめを行うこと、対外発表活動を進めることに力を入れる。 マーケティング・セグメンテーションとして、ネットワーク分析を導入したが、その結果の見せ方として、視覚に訴える方法が種々考えられ、単に分類できたというだけでなく、その視覚的表現について考察し、提案手法の評価に盛り込みたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
緊急事態宣言発令のため、学会発表ができなかったため、次年度使用額が生じました。それにともない、補助事業期間を延長し、残額にて対外発表活動を実施する予定です。
|