2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K04036
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松田 康弘 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (70451507)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 資本予算 / データドリブン経営 / 情報リテラシー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究では,資本予算のプロセスを分析した.構造的意思決定やリエンジニアリングにおいて,業務の改善・改革を検討する上で,ビッグデータの重要性が高まりつつあることは言うまでもない. 多くの大企業は分権化した組織であるが,こうした分権制組織では事業部長等の管理者の側に意思決定の権限がある場合が多い.しかし,管理者がビッグデータを扱うデータ・サイエンティストによる改善・改革に関わるプロポーザルの仕組みや意図を読み取り,適切な資源配分をおこなうことができるとは限らない. 今年度の研究では,こうした管理者の情報や技術に関するリテラシーに注目し,管理者のこうしたリテラシーの程度が他者そしてゲームの初期時点では経営者本人すらも観察不可能であるケースを考え,いわゆるデータドリブン経営を採用することが効率的である状況で,リテラシーが分権制組織における資源配分にどのような影響を与えるのかを分析した.分析モデルは契約理論の枠組みのひとつであるアドバース・セレクション・モデルを応用したものである. 分析の主要な結果は以下のとおりである.標準的なアドバース・セレクション・モデルと比べ,非効率的なタイプの管理者のプロジェクトのサイズが大きくなるケースが存在する.また,管理者がデータ・サイエンティストのプロポーザルを受け入れる条件を特定し,データドリブン経営の拡大を阻む要因を説明した.この結果はディスカッション・ペーパー"Manager’s Technology Literacy and Obstacles to Data Driven Management"にまとめられている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題においては,今年度はデータドリブン経営と管理者のリテラシーという新たなテーマについて研究成果をあげることができた.この研究についてはディスカッション・ペーパー執筆には至ったが,ジャーナルへの投稿には至っていない.また,分析はまだ粗い点が多く,関連する先行研究については調査している途中である.これらの点について研究をすすめる必要がある.2022年度は投稿をおこない,年度中のアクセプトを目指す.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度にモデル分析を行ったテーマはデータドリブン経営と管理者のリテラシーである.2021年度の研究に関連するところでは,今後は分析の精緻化と先行研究の整理をおこない,ジャーナルへの投稿をおこなう.また,これらのテーマに関するモデル分析は様々なものが考えられるため,最終年度は2021年度の研究をさらに進めつつ,派生するモデルについても分析をおこなう予定である.
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Causes of Carryover |
新型コロナ・ウイルスによる影響で学会や研究会等がオフラインで開催されず,予定していた出張旅費で予算を消化することができなかったため. 次年度(最終年度)は,資料の購入整理・印刷と学会参加等の出張により残額を消化する予定である.
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Research Products
(2 results)