2017 Fiscal Year Research-status Report
中小企業に適した普及型ビジネス・プロセス管理モデルに関する研究
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17K04047
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
李 健泳 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (60212685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長坂 悦敬 甲南大学, 経営学部, 教授 (00268236)
劉 雪峰 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (50571220)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | BPM / ドリルダウン / 時間管理 / 時間原価管理 / リードタイム管理 / ITツールの開発 / 中小企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は中小企業を対象としたBPMモデルの参加的導入研究である。したがって,中小企業の実態に合わせてプロセスの管理と構築を段階的に推進して成果が得られるような工夫が必要である。特に,本研究では,今までの研究成果として作り上げた中小企業用のBPM概念モデルをもとに中小企業の現場の意見を聞き入れながら,使いやすいITツールを開発し,それの適用により得られるデータを分析し,成果が管理できる業績管理モデルの完成までを目指している。具体的には①BPMに関する概念モデルの確立,②ITツールの開発とデータ分析方法の考察,③中小企業での普及モデルの開発の順になる。 平成29年度の研究目標は上述のように「段階的なプロセスの管理・構築の概念モデルの確立」である。したがって,当研究の初年度である平成29年度は,パイロット・テストが可能な新潟県三条市にある中小企業1社と韓国忠州市にある中小企業1社を対象としたインタビュー調査等を行い,BPM構築・管理モデルに関する企業現場から意見を聞き入れて,モデル改良に取り組み,当初の研究目標は達成することができた。さらに,当研究が開発しようとするITツールからのプロセス・データの計測を想定し,そのデータを分析するEXCELのマクロによる解析ツールの開発を行った。 一方,今年度に限る研究成果ではないが,今までの研究の集大成としてWorld Scientifics社によるHolistic Business Process Management- Theory and Practice-という書籍を平成29年8月に出版することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究目標は「段階的なプロセスの管理・構築の概念モデルの確立」であった。このような研究目標に対して,次のような成果を上げ,予定した目標はほぼ達成できた。 1.当研究は,企業事情に合わせた段階的なビジネス・プロセスの構築と管理を通じて,プロセスの「時間・コスト・キャパシティ」の管理ができるモデル開発を目指すものである。すなわち,ロシア人形(Matryoshka doll)のようにシンプルな一つの人形のみ(親プロセス)を作ることによりプロセス管理が行われることができ,より詳細に人形の中身を管理したいときには,次々と,中の人形(子プロセスと孫プロセス)を作ることにより管理の精度を高めることができる概念モデルを開発することである。当概念モデルは企業の様々な実情を反映して修正を加える必要があるが,標準的なモデルとしては築き上げることができた。 2.子プロセスや孫プロセスの経過時間が当概念モデルのITツールにより測れて,Excelファイルとして集計できれば,測定された時間を利用して各プロセス活動のコストを測ることもできる。特に,コストを測る手法として時間主導型活動基準原価計算(TD-ABC)やスループット会計,Time Based Costing(TBC),Time Based Accounting(TBA)などの新しい理論が当モデルと親近性のある技法であるため,これらの技法の特徴を活かして適切なコストの算出及び管理が可能な概念モデルを作り上げることができた。これらの概念モデルの開発は日本と韓国の中小企業の協力により作り上げられた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究では,平成29年度に得られた研究成果をもとにして,「企業との連携によるITツールの開発と成果分析方法論の考察」を行う予定である。この研究では,すでに協力を得ている日韓の企業への試行的な適用により,中小企業の諸般事情をITツールでどう織り込むかを考察し,中小企業に適したITツールの開発を目指す予定である。さらに,ITツールが特定の企業に適用されれば,それによる多くのプロセス・データが得られるので,その分析ツールを作り上げる予定である。
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Causes of Carryover |
当研究における前年度未使用額が生じた状況と使用計画は次のとおりである。 前年度の未使用額は予定した海外現地調査および研究会が中止になり,次年度に延期されたことによって生じたものであり,次年度の海外現地調査及び研究会に伴う旅費として使う予定である。 平成30年度の研究目標である「企業との連携によるITツールの開発と成果分析方法論の考察」では,中小企業の現場の状況を取り入れるとともに,成果を発表する機会を設ける必要があるために,多額の必要な旅費が発生すると予想されるので,それに充てたい。
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