2019 Fiscal Year Annual Research Report
Equity recognition in the age of internationalization and information technology
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17K04049
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野口 晃弘 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (90208314)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 分割払込 / 無償発行 / ストック・オプション / 株式報酬 / 制度会計 / 資本会計 / 財務会計 / 会計学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、会計の国際化と情報化という環境変化の中で、資本会計における認識基準に関する新たな考え方を示すことにあった。 イスラム金融商品の主流であるスクークについて、持分証券の形式をとりながら債務証券の実質を持たせることには、法域によって係争事件の結論が異なる可能性も指摘されるなど、イスラム教の教義との関係で限界があるため、資本会計ではなくリース会計として取り上げるべきことが明らかになった。 アメリカにおける転換社債の会計基準の公開草案を取り上げ、国際基準との乖離が大きくなることについて指摘した。また、区分法であっても、他の新株予約権と同様に、転換時の時価との差額が損益計上されないことから、事後の結果について、事前の見積もりと差が生じたとしても、それを修正しないという方法で、利益の平準化が図られているという解釈を示した。オプションの段階で資本として認識することによって、資本として認識した後は、その時価の変動を損益に反映させないことになる。 企業史料統合データベースを活用し、19世紀のわが国における企業の報告書を調査した結果、旧商法制定前後で、資本金の計上基準が払込主義から引受主義に変化していることが明らかになった。旧商法では、先行研究でも明らかにされているように、それまでのわが国の会計実務がイギリスの影響を強く受けていたのに対し、ドイツの影響を強く受けたものとなっており、財産目録が制度化されたのもその一環と捉えることができる。株式引受未収金は法律上は債権であり、債権を網羅して記載するという目的の財産目録作成が実務上も行われるようになったことの影響が、資本金の計上基準に変化をもたらした要因として挙げることができる。 ただし、大正期になっても横浜正金銀行が払込主義を用いていた理由を解明することはできておらず、今後の研究課題として残されている。
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