2019 Fiscal Year Annual Research Report
An empirical research on the relationship between financial reporting quality and investment efficiency
Project/Area Number |
17K04053
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
榎本 正博 神戸大学, 社会システムイノベーションセンター, 教授 (70313921)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 投資の効率性 / 利益の質 / コーポレート・ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,財務報告の質と企業投資の効率性との関係を明らかにすることにある。両者に正の関係があれば,外部への財務報告の質の改善が企業内部の投資行動を効率化することを意味する。さらに財務報告の質と投資の効率性の両者に影響を及ぼすとされるコーポーレート・ガバナンスがこの関係にどう寄与するかを示すことを目的とする。 本年度はわが国のコーポレート・ガバナンスの変容が利益の質と投資効率性に与える影響について,借入金依存度,メインバンク,系列に着目した研究を行った。前年と大きく趣旨に変更はないが論文の改訂を行い,引き続き海外ジャーナルに論文を投稿予定である。 昨年度から開始した,継続企業の前提に関する重要な疑義に関する情報に関する注記の開示が投資の効率性に与える影響について進めた。分析の結果は継続企業の前提に関する重要な疑義に関する情報が投資の効率性に与える影響は不明確であった。そのためさらなる調査を行うことにした。 また本年度は,上場子会社についての研究を実施した。わが国証券市場の特徴のひとつとして親子上場がある。親子上場にはコーポレート・ガバナンスの上の問題があると言われている。ひとつに利益相反問題があり,企業グループ全体の観点と子会社単独の視点からの経営資源の配分でコンフリクトが生じる。例えば資金需要のある親会社が子会社から資金を提供させることがあり,上場子会社の過小投資をもたらす。しかしながら,先行研究によると,親子上場を利用したファイナンシャル・トンネリング等は大きな問題となっている可能性は低く,むしろ上場子会社のパフォーマンスは高かった。こういった観点から上場子会社の投資の効率性を調査すると,上場子会社は他の企業と比較して過小投資を緩和している結果が得られたが,頑健な結果ではなく追加の調査が必要であることが判明した。
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Remarks |
[ディスカッション・ペーパー] Enomoto, M., B. -C. Jung, G. Rhee, and A. Shuto. 2019. Is Japan more like the U.S now in the relation between accounting quality and investment efficiency?
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