2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on Organizational Capital and Corporate Performance using Organizational Psychology
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17K04061
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
細海 昌一郎 東京都立大学, 経営学研究科, 教授 (80287953)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 知的資本 / コスト・マネジメント / 地方公立病院 / 非対称コスト・ビヘイビア / 人的資本 / 組織資本 / 関係資本 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、従業員等の心理的側面が組織資本を構成する組織文化に与える影響や企業業績との関係について明らかにするため、質問票調査等による研究を予定していた。しかし、本年度は、新型コロナウイルスの感染が再拡大したこともあり、これまでの研究計画とは異なるが、研究成果の研究発表にあるとおり、非営利組織の地方公立病院のデータを用いて、知的資本とコストの下方硬直性の関係に関する実証的研究を行った。 本研究では、地方公共団体が設立する公立病院を対象に、知的資本とコスト・マネジメントの関係性を明らかにするため、非対称コスト・ビヘイビアの分析手法を用いて検証した。具体的には、地方公営企業法が適用される公立病院の1978年から2013年までの36年間を対象に財務データに病院情報を加えた35,070データをもとに分析を試みた。 分析の結果、知的資本に重きを置く企業では、コストの下方硬直性が見られるという先行研究と一致する結論が得られ、公立病院でも、人的資本や組織資本、関係資本といった知的資本が、コストの下方硬直性を強めるように作用していることが明らかになった。 この分析結果から、財務情報に基づく経営の評価だけではなく、こうした非財務諸表情報も含めた医療の質を加味した分析・評価が、非営利組織の地方公立病院事業においても今後は求められるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
事前に検討した研究デザインにしたがって、早ければ、データの収集を行う予定であったが、新型コロナウイルスの感染が再拡大したこともあり、依然として研究が大幅に遅れている状況である。 また、研究手法について新たな手法を取り入れることを検討しているが、この点についても準備に時間がかかっているため。 さらに、本務校の学部において担当したFD委員等の仕事が多忙を極めたことも研究遅延の原因となった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は本研究課題の最終年度であるが、以下のような内容の研究を推進したい。 (本年度前半) ・産業・組織心理学等の新たな知見を取り入れた質問票調査を実施し、従業員等の心理的側面が組織資本を構成する組織文化に与える影響や企業業績との関係について明らかにする。 (本年度後半) ・本年度前半の質問票調査とは異なる研究の視点から、心理学実験等の手法を用いて人的資本や組織資本と企業業績との関係に関するデータの収集及び分析を予定している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大が3年目に突入したが、予定していた調査が行える経営環境にはないと判断した。こうした理由から、予定していた当初の調査を中止したため。 コロナ不況が収まり、企業活動が通常の状態に戻ってくれば、計画していた調査を再開したいと考えている。
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Research Products
(2 results)