2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K04069
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
園田 智昭 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (50226718)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 企業グループ / シェアードサービス / 全体最適 / 部分最適 / 純粋持株会社 / 広告宣伝費 / CMS / 本社部門 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の契機となった、日本会計研究学会スタディグループでの共同研究の成果の編集作業を行い、2017年12月に、園田智昭編著『企業グループの管理会計』(中央経済社)を出版した。1990年代の後半より、日本企業は親会社中心主義から、グループ・マネジメントにシフトしている。本書では、企業グループのマネジメントについて、管理会計の観点から、①企業グループ全体の最適化と、個別企業または連結セグメントにおける部分最適化の整合性、②企業内で適用されている管理会計手法を、企業グループ全体に適用することで生じる変化、③企業グループ・マネジメントに固有の管理会計に関する課題という3つの分析視点を提案し、企業へのインタビュー調査や質問票調査を実施することで、それぞれの例を具体的に示しつつ、組織変更、移転価格税制、連結環境管理会計など、さまざまな観点から検討を行っている。 企業グループマネジメントの課題のうちの1つは、経理や人事など、企業の本社部門で行われている間接業務を集約するシェアードサービスである。企業グループでのシェアードサービスの導入状況と実施組織であるシェアードサービスセンターのマネジメントについて調査すべく、大塚製薬、星野リゾート、日本郵政スタッフに訪問調査を実施した。また、シェアードサービス導入企業の実務家が集まる、シェアードサービス研究交流会議と食品業界シェアードサービス連絡会に参加し、参加企業と意見交換を行った。 なお、現在実施している『会計・監査ジャーナル』での連載は、公認会計士を中心とした実務家の啓蒙を目的としており、テーマの選択に関する自由度が高い。そこで、本研究テーマに関係したアイデアや簡単な研究成果について、早期に活字化して発表する目的でも活用し、7本の論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は、本研究の契機となった日本会計研究学会のスタディグループでの共同研究の成果である、『企業グループの管理会計』(2017年、中央経済社)の編集・出版作業に時間を取られ、そのほかの活動としては3社にインタビュー調査をしたに留まり、研究計画に記載したすべての項目の実施まで進むことができなかった。 ただし、本研究テーマに関係したアイデアや簡単な研究成果については、平成29年度に『会計・監査ジャーナル』で7本の論文を発表しており、平成30年度の研究に向けた下地はできているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の本研究の全体的な研究計画は以下のとおりである。平成30年度は、29年度の遅れを取り戻すべく、シェアードサービス、純粋持株会社、広告宣伝費を対象として、以下の研究を行う。 シェアードサービスについては、園田(2006)『シェアードサービスの管理会計』以降の実務の展開を主たる研究対象とし、具体的には、時間管理、戦略支援業務の取り込み、アウトソーサへの委託等について、企業に訪問してインタビュー調査を実施する。また、上場企業にシェアードサービスに関するアンケート調査を行い、質問票による包括的な分析を実施する。 純粋持株会社に関しては、園田(2007)「純粋持株会社の収益管理」で行った、収益源と収益水準の追試を実施するほか、親会社を事業持株会社に組織変更した企業グループについて、その理由をインタビュー調査により明らかにする。 また、広告宣伝費についても、収益との相関関係等の分析を実施する。
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Causes of Carryover |
平成29年度は、本研究の契機となった日本会計研究学会のスタディグループでの共同研究の成果である、『企業グループの管理会計』(2017年、中央経済社)の編集・出版作業に時間を取られ、そのほかの活動としては3社にインタビュー調査をしたに留まり、研究計画に記載したすべての項目の実施まで進むことができなかった。 平成30年度は、第1にシェアードサービスと純粋持株会社に関するインタビュー調査について、新規調査企業の開拓と、既調査企業に対する再調査による理解の深化という2点を目標とし、なるべく多くの企業に調査を行うよう努力し、旅費(国内)に充てる。 第2に、上場企業に対する質問票調査を実施し、シェアードサービスセンターのマネジメントについて、個々の企業レベルではなく、日本企業全体の傾向を分析する。そのために、その他に該当する支出として、質問票を送付するための切手代と、督促用はがきを購入する。
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Research Products
(10 results)