2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K04081
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
東 健太郎 立命館大学, 経営学部, 教授 (20535843)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 被災地支援 / イベントスタディ / ESG / 社会環境会計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、企業の被災地支援アナウンスメントに対する株式市場の反応をイベントスタディを使用して分析した。熊本地震後60日以内に義援金拠出をプレスリリースでアナウンスした企業の株価には、ポジティブな反応を検出することができた。したがって、企業が被災地支援をアナウンスすることは、企業自身の株式市場における評価を高めることが確認された。 さらに本研究においては、どのような企業がより高い評価を受けるのか、という視点から、ポジティブな株式市場の反応の決定要因を探索した。まず地震後7日以内に、アナウンスメントを公表した企業の株価は、8日以降にアナウンスメントを公表した企業に比べて、よりポジティブな反応を受けていた。また、義援金額については、金額の絶対値ではなく、企業規模で調整した数値が、株価に対してポジティブな影響を与えていることが明らかになった。すなわち、企業からみると、より早い段階で、自社の規模に対してより高い金額の義援金支出をアナウンスすることが、資本市場においてポジティブな評価を得る際のポイントとなる。 さらに、従業員と役員による義援金の追加支出についても分析をした。従業員の義援金支出は、株価に対してポジティブな影響を示していたのに対し、同様の効果は役員の義援金支出では検出されなかった。また、自社商品やその他現物による被災地支援については、ポジティブな効果を示していていなかった。また、株価の反応に対するコーポレートガバナンスの影響を分析した。国内所有の株式の比率は、株価に対してポジティブな影響を示しており、また、所有の集中度合いについては、ネガティブな影響を示していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分析は順調に進展している。また、学会報告の際のコメントに対応することで、研究を進捗させることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに実施した分析が、英文ジャーナルをはじめとする先行研究の中で、どのように位置付けられるか、を明らかにすることが今後の研究の課題である。これに対応しながら、論文公表を目指す。
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Causes of Carryover |
国際学会でより頻繁に発表をする計画であったが、査読等の関係により、適わなかったため。
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