2017 Fiscal Year Research-status Report
Accounting of the British East India Company in 17-19th ; Bookkeeping of Factories in India
Project/Area Number |
17K04082
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
杉田 武志 大阪経済大学, 情報社会学部, 教授 (80509117)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 会計史 / Stock / Balance / 商館 / 本社 / 私貿易 / 複式簿記 / 罰金 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,17-19世紀イギリス東インド会社の本支店会計の全容を明らかにすることである。今年度は,研究初年度ということもあり基礎的な作業となる先行研究のレビューの他,大英図書館(British Library)に所蔵される東インド会社の一次史料について複写注文(HPからオンラインでCD-Rへの複写注文)を行った。会計帳簿などの史料入手後は,史料の考察を実施した。なお,史料収集はこれまで継続して行っていた作業であるため,スムーズに進めることができている。 さらに,研究成果の途中経過について,筆者が所属する研究会と日本会計史学会で研究報告を行った。この報告では,17世紀から18世紀半ば頃までの東インド会社の主な経営活動として認識される東インド貿易に焦点を当てた。特に,東インド会社の在インド商館と本国イギリスを結びつけた貿易に着目することで,在インド商館の取引が,如何にしてロンドン本社側の会計処理に反映されていったのかについて考察を試みた。これは,本社と支店間の取引を帳簿に記録していく本支店間の処理の検討につながるとともに,本社と在インド商館(在外支店)の会計の仕組みを考察する上で意義が見出されると考えられたからである。また,一連の研究成果に関しては日本会計史学会誌に論文として投稿中である。この他にも今年度は専門雑誌『企業会計』で論文を発表した。これは,東インド会社の報告書と簿記手続きとの関係に焦点を当てたものである。特に当時の財産有高報告書に複式簿記の記録が利用されたのか否か(誘導法の是非)について整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では東インド会社の本社と在インド商館等の会計システムを検討することが主な目的である。そのため,今年度は基礎となる先行研究のレビュー,史料の入手,史料批判に時間を割いた。史料の入手についてはこれまでの経験から比較的スムーズに進行しているといえよう。史料入後は,東インド会社は海外とイギリスをまたぐ取引(貿易)を軸とした事業活動を営んでいることもあり,貿易に関する会計処理,特に本社とインド商館に関係する私貿易に対して課された許可料および罰金の徴収という側面からアプローチした。 研究の成果の一部については,上記のように研究会,学会で報告した。研究成果は学会報告1回,刊行論文1本(単著)ではあるが,現時点でこれまでの研究成果として学会誌へ投稿中の論文が1本あげられる。 また,今年度は9月に開催された会計史の国際学会(於:イタリア)に参加をして(報告はしていないものの),イギリスの研究者らとも意見交換を行った。あわせて,次年度(2018年9月から2019年8月)には英国への在外研究を予定している。在外研究は当該研究テーマを進める上でも意義深いものであると考えている。なお詳細は後述するが,当該科研費の申請を行った際(2016年秋)における出張期間と受け入れ先の大学に変更が生じている。しかし当該研究テーマを実行する上で重要となる在外研究の調整も進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的でもある本社と在外商館に関連する史料の検討を行うため,引き続き史料収集と史料批判を行う予定である。これに加えて次年度(2018年9月~2019年8月)では英国での研究活動を実施する予定である。なお,当該科研費を申請した際に予定していた在外研究先の大学に変更が生じている。これは,在外研究先(受け入れの研究者)を杉田の研究テーマとの親和性の高さに基づいて改めて判断した結果,University of Sussex, School of Business, Management and Economics(以下,サセックス大学)に会計史研究者として複式簿記の歴史研究を行うとともに,トップジャーナルに論考を数多く発表している研究者が在籍していたからでもある。いずれにせよ次年度は在外研究のため英国に滞在予定でもあるため,在籍予定のサセックス大学等での研究活動として,東インド会社の本社と在外商館の会計システム構築に関する考察などを進めていく予定である。さらに,科研費に関連するテーマの研究成果の報告を同大学でのセミナー等で予定している。 当然ながら同大学における滞在を通して現地での研究者との交流も図ることで,海外の研究者による知見も吸収できればと考えている。この他に国際学会等での研究報告も検討しているところである。他方,ロンドンにある大英図書館を訪問して,同社の史料収集等の作業も予定している。入手後は,引き続き史料批判を実施していく。
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Causes of Carryover |
本来であれば,海外での史料収集等を計画していたものの,時間的制約により見送ることとなった。そのため,使用額と予算に差額が生じることとなった。 使用計画としては,次年度9月より在外研究の予定でもあるので,現地での研究活動に予算を使用したいと考えている。特に研究に必要となる消耗品や物品等の購入代,研究会や学会などへ参加するための旅費なども想定している。
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Research Products
(2 results)