2020 Fiscal Year Research-status Report
Accounting of the British East India Company in 17-19th ; Bookkeeping of Factories in India
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17K04082
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
杉田 武志 大阪経済大学, 情報社会学部, 教授 (80509117)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 私貿易 / エージェンシー / プリンシパル / 商館 / ロンドン本社 / 取締役会 / 密貿易 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は,昨年度のコロナ禍という状況を受けて,研究期間を延長していた。本来であれば,コロナ禍が収束することを想定して,史料の入手,学会等への参加を検討していたのだが,周知のとおりコロナ禍が継続したこともり,2020年度も予定通りには進まなかった。特に史料を所蔵している大英図書館もイギリスのロックダウンに伴い,複写サービス等を何度か停止していた。それに伴い,こちらからの史料の複写注文が履行されていなかったこともあり,史料の入手もだいぶ遅れが生じている。さらに,研究成果の一部は学会等で報告したいと考えていたものの,2020年5月時点で,研究発表をアプライしていた海外の学会もすでに中止が決定したこともあって,学会報告は実施できなかった。 2020年度においては,結果的に刊行された業績はなく,研究発表なども実施できていない。とはいえ,2020年度に執筆を実施していた論文原稿が,2021年度に刊行される予定となっている(2021年5月現在)。当該論文では,これまで検討してきた東インド会社の本社,在外商館地の従業員や船舶関係者が携わってきた私貿易の管理と本社に導入されている複式簿記の役割との関係について,エージェンシー理論におけるプリンシパル・エージェンシー関係の観点から検討を進めている。このようなアプローチを分析視角として採用したのは,同アプローチが,経済史や経営史分野の先行研究などでも同様の試み(分析)がみられ,同社の私貿易問題の検討と親和性が高いと思われることに加え,欧米の会計史研究でも理論的なフレームワークに則り,歴史的事象を考察する試みが増えていることに起因している。 2021年度の予定としては,現在(2020年5月現在),大英図書館も複写サービスを再開しているので,史料の注文を実施していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍において,主要な史料調達先であった大英図書館でも,史料複写業務が一時停止されていたこともあり,想定よりもだいぶ遅れが生じている。さらに,既述のように学会での報告機会も逃したこともあり,多少なりとも,研究成果の発信にも遅れが出ていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は, 大英図書館が再開している史料の複写サービスを利用して,史料の入手を実施する予定である。史料の入手後は,史料批判を通じて,本研究の課題の一つでもある本社と商館間における会計の仕組みの分析を進めていく予定である。加えて,コロナ禍ということで,通常の学会や研究会がオンラインに移行していることもあるので,研究成果の発信のために研究報告の機会を改めて検討しているところでもある。
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Causes of Carryover |
既述のように,コロナ禍という特殊な状況により,もともと想定していた資金の使途でもある,史料の入手,学会出張のための旅費などが,大英図書館の複写サービスの一時停止や学会の中止などによって使用できなかった。それゆえ,当初想定した金額を使用できなかったことからも,未使用額が生じている。 2021年度においては,改めて(大英図書館を中心に)一次史料の複写代,研究に必要となる関連書籍などの消耗品や物品の購入のための使用を計画している。
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