2020 Fiscal Year Research-status Report
相互行為から見る中山間地域への移住の実態:移住者と地元者の語りにおける境界と融合
Project/Area Number |
17K04097
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
福島 三穂子 宮崎大学, 地域資源創成学部, 准教授 (40735784)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 会話分析 / 相互行為 / 中山間地域 / 観光 / 地域活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、宮崎県の中山間地域を主な研究フィールドとしながら、移住者と移住先の地元民との相互行為を会話分析や相互行為分析を方法論とし分析し、様々な社会的背景を持つ住民の共存の実態を、彼らの語りの中から明らかにしていくことで地域創成への貢献を 目指すものである。2020年度は「地域観光の推進:宮崎市における産学官連携事業の会議場面いおける相互行為の分析から」の内容で、観光学術学会にて発表予定だったが、中止されたため、プロシーディング集にまとめられた。またコロナ禍の影響で出張等動きが取れなかったため、主にこれまでの調査で撮りためたビデオデータのトランスクライブ化を大幅に進めることが出来た。そのデータをもとに分析を進め、2つのテーマのもと論文を執筆中である。1つは中山間地域における内と外の境界線が相互行為の中でどのように作られるのかをテーマにしたもので、観光を使った移住者増員を含む、地域活性化の取り組みを文脈とした、郷土料理に関わる会議場面の分析である。これは、観光学術学会 (2021年7月)での発表を予定している。もう1つは、やはり中山間地域の地域活性化場面の中で、話者の社会的関係性がどのように表示されるのかについて論文を執筆中である。 感染拡大防止が強化される中、県内であっても宮崎市内から中山間地域への訪問調査は地元民の意向を最優先し控えなければならない状況であるが、調査フィールドにいる方々とは連絡を取り合い、時期を見て調査が再開できるようネットワークは維持している。中山間地域での聞き取りやデータ収集をさせて頂いた方々には、口頭にて調査報告も実施している。また、海外の共同研究者ともビデオ会議ツールを使い、研究報告を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍における緊急事態宣言など離県を含む行動制限がかかったことが大きな遅延の要因となった。また、調査を予定していた地域のイベントがほぼ全て中止となったことも原因となった。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、コロナ拡大防止を最優先しながらも、引き続きこれまでの研究成果をまとめる作業に入り、報告書の作成、また発表・報告を行う。 第二に、これまでの調査を基礎として、自治体の婦人会を中心とした方々からの聞き取りを継続していく。地域の伝統行事などへの参加も継続し、エスノグラフィックな調査も継続することで、これまで築いてきた地域の方々とのネットワークを守る。 第三に、これまで蓄積したデータ分析としては、移住者と地元民の間で起こる会話の中で、「外から来た人」の目から見た地域資源と「自分たち」の目から 見 た地域資源を、彼ら自身がどう語るのかに注目し、彼らのアイデンティティ「わたし」と「他者」の境界と融合の分析を深める。また、中山間地域の活性化事業 に参加することで見えてきた現象として、産学官連携事業の難しさがあり、多様な社会的背景のメンバーが協働する場合の、社会的関係性の表示についても分析 を深める。さらに郷土料理を1つのキーワードに加え、和食の継承の一環として地域の人々が「わたし」の料理をどう「他者」へ継承していけるのか分析を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響による緊急事態宣言等で行動制限がかかったため、次年度の学会発表用の出張費を確保したことが大きい。
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