2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Comprehensive Study on Welfare Stigma and Conservative Ideology as its Background
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17K04101
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
鈴木 宗徳 法政大学, 社会学部, 教授 (60329745)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 福祉 / スティグマ / 保守イデオロギー |
Outline of Annual Research Achievements |
福祉スティグマ、すなわち福祉手当を受給する貧困層に付与される恥辱感について、イギリスを中心とする海外の事例についての検討を進めた。2019年度は特に、近年のEU懐疑派の台頭に象徴されるイギリスにおける福祉ショービニズム(福祉排外主義)の世論が、キャメロン政権下で進行したワークフェア改革から影響を受けた可能性について検討を行った。ワークフェア政策の急進化によって、ワーキングプアや失業者は互いに敵愾心をもつ競争的個人へと分断され、「排除」の空気が優勢となる社会が生み出されたという仮説である。 イギリスの福祉改革が唱道するコンディショナリティという思想は「救済に値するdeserving /値しないundeserving」の二分法にしたがって福祉受給者個人を判別するものであり、それが社会に分断や排除を持ち込んだと考えられる。本研究では、イギリスで求職する外国人の福祉受給資格について尋ねた世論調査の結果が外国人にとって大変厳しいものであること、さらにポーランド移民に対するインタビュー調査による、差別されている彼ら自身がホームレスとなった他のポーランド人や働こうとしない難民たちを「救済に値しない」と低く評価しているという知見を手がかりに、コンディショナリティが与えるスティグマについて検討を進めた。 さらに、首都大学東京の研究者を中心とする「貧困と世論」研究会に参加し、日本における生活保護受給者バッシングの現状について意見交換を重ねた。
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