2017 Fiscal Year Research-status Report
基地配備をめぐる社会学的研究ー南西離島における基地建設と地域的記憶ー
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17K04104
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Research Institution | Soai University |
Principal Investigator |
藤谷 忠昭 相愛大学, 人文学部, 教授 (30368378)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 沖縄 / 自衛隊 / 南西諸島 / 地域社会 / 記憶 / 戦争 |
Outline of Annual Research Achievements |
記憶論についての理論的研究を行うとともに、宮古島、石垣、与那国で、資料収集やヒアリング調査などフィールドワークを行った。 理論的研究では、ベルクソンの記憶論を整理し、その観点から、モーリス・アルヴァックスの集合的記憶論、ピエール・ノラの記憶論を再構成しようと試み、宮古島の自衛隊基地建設を事例に、日仏社会学会において、その成果の一部を報告した。 フィールドワークでは、宮古島において、9月と2月に現地で資料収集をするとともに、ヒアリング調査を行った。まず、宮古島市立図書館で資料収集を行い、また、宮古島市総務課、野原区、高田区、宮古地区自衛隊協力会などでヒアリングを行うとともに、散在する戦争遺跡を視察した。その成果の一部は、日本社会学会で報告した。 2月には宮古島、石垣、与那国において、資料収集をするとともに、ヒアリング調査を行った。宮古島では宮古島市立図書館で資料収集を行い、七原区、神屋区、添道区、保良区、上野支所などでヒアリングを行うとともに、千代田区の基地建設現場、保良区の基地配備予定地などを視察した。石垣では、石垣市立図書館で資料収集を行い、石垣市総務課、八重山漁業協同組合、八重山防衛協会などでヒアリングを行うとともに、基地配備予定地とその周辺集落などを視察した。与那国では、与那国町交流推進班、教育委員会、与那国交流館などでヒアリングを行うとともに、自衛隊基地、施設、また戦争遺跡などを視察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論的研究においては、ベルクソンの記憶論を整理し、本研究の分析視角を得ることができた。 フィールドワークにおいては、当初の計画通り、宮古島、石垣、与那国で、資料収集及びヒアリングを行い、基地配備及び計画の概要を把握し、また、まだ一部ではあるが、地域住民の反応を知ることができ、本研究の事例について多くの知見を得ることができた。 ただ、ヒアリング先とのアポイントが達成できなかったり、また、行事等と訪問日の日程調整ができなかったり、次回以降に課題を残している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の成果と残された課題を踏まえ、30年度も引き続き本プロジェクトにかかわる理論研究とフィールドワークを可能な限り進めていきたい。 理論研究では、ベルクソンの記憶論を現代の社会学、哲学、自然科学諸成果と照らし合わせ、より的確な視角構築を目指したい。また、コミュニティ論との接合を模索する。 フィールドワークにおいては、自衛隊の地域社会への影響や、配備計画の進捗状況とその反応を知るため奄美大島所在の市町村 役場、関連自治会、施設などで、また軍事遺跡の状況を知るため喜界町役場、関連自治会で、さらに与那国との交流の現状などを知るため台湾花蓮市で、また沖縄、南西諸島との歴史的関係を知るため台北で関連施設で情報収集、ヒアリング調査を行う予定である。対象者との調整の状況によっては、宮古島、石垣、与那国 や、離島との比較のため沖縄本島での該当地域に対象を変更する。 併せて、トロントで開催される世界社会学会議に参加し、情報収集をするとともに、本研究の成果の一部を発信する。また、国会図書館、沖縄県立図書館などで資料収集などを行う予定である。
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Causes of Carryover |
2月における現地調査での必要額が当初の予定を下回ったため。
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Research Products
(3 results)