2018 Fiscal Year Research-status Report
鳥取県における女性と地域政治の変容過程――戦後から現代まで――
Project/Area Number |
17K04105
|
Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
春日 雅司 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (90152660)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹安 栄子 京都女子大学, 地域連携研究センター, 特命副学長 (70131414)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 地域政治 / 女性議員 / 昭和の大合併 / 平成の大合併 / ジェンダーポリティックス |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、①鳥取県において戦後から現在に至る期間に行われたすべての選挙結果を確定(選挙年月日、立候補者名、得票数など)すること、②その過程で女性の立候補者・当選者を確定すること、③戦後期から昭和30年代にかけてのいわゆる女性の戦時参画の草分け的人物について可能な限り個別調査をすること、④関連文献・資料の収集、などを行った。 ①については、県の選挙管理委員会がその大部分を整理し公表しているので、基本的にはそれを利用した。しかし、そこから漏れているものもある。とりわけ、昭和20年代から市町村合併が進む30年前後までの選挙については、わからないものが多い。市町村史誌(昭和の合併後に作成されたものがほとんど)などで当選者の氏名のわかるものもあるが性別は不明、また得票数や立候補者全員の氏名なども不明が多い。地元の新聞記事などをあたり、収集作業を進めた。②女性については、衆議院選挙で当選したのは昭和21年に1名、1999年に繰り上げ当選した1名、合計2名。その他、参議院と首長選挙(いずれも当選者はいない)については女性の立候補者、県議や市議、町村議選挙は立候補者と当選者について確定作業を進めた。③各種選挙のうち女性の当選者については、とりわけ昭和21年の衆議院議員から昭和30年前後にかけての県議・市町村議に当選したことが確認できた10数名についてその足跡をたどる作業をした。とりわけ初の女性代議士となった田中たつについては、共同研究者が論文としてまとめた。④地域社会と女性の政治参画に関する各種文献については、確認できたものから収集した。 以上であるが、特に選挙結果の確定作業に多くの時間を割かざるをえなかったが、戦後期の女性議員たちを追跡していく中で、親族の皆さまから資料や写真などの提供を受け、公文書館や自治体で引き取っていただくこともできた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度はやや手探りの部分もあって作業がはかどらなかったが、2018年度は選挙結果の確定作業だけでなく、初期の女性議員たちを確認しその足跡をたどる作業などもできたことから、おおむね順調な1年であったと考えている。加えて、戦後最初の衆議院議員選挙で鳥取県から当選した田中たつに関する資料の提供を受け、公文書館の協力などを得て共同研究者は研究論文を作成した。また、戦後の鳥取県の女性議員に関する俯瞰的論考を代表者と共同研究者が連名で『選挙研究』に投稿できたことで、この研究の大枠ができあがった。これについては識者の意見も出てくるであろうから、それらを参考にしつつ来年度のまとめに生かしていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度の方針として、①選挙結果についてはできるだけ古いものまで確定作業を進め、女性の立候補者や当選者がいないか確認していく、②確認できた女性の立候補者や当選者のうち、昭和30年代初めくらいまでの期間については、個別に人物像をたどってみたい、③鳥取県における地域社会と女性の政治参画について、日本はもちろん他の地域に関する文献なども参考にしつつ、戦後史を俯瞰できるまとめをしたい、と考えている。
|
Causes of Carryover |
当初予定していた「その他」の費目のうち聞き取り内容を文字化する作業が少なくなり委託費が縮小した。逆に、代表者と共同研究者が直接現地へ出向く必要のある作業が増えたものの、大学業務との兼ね合いで完全消化するまでには至らなかった。最終年度は前年度の経験を踏まえ予算消化ができるよう研究が進展する予定である。
|