2017 Fiscal Year Research-status Report
Action Research for Transformation of Local Communities through the Prevalance of Parallel Career
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17K04108
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
平井 太郎 弘前大学, 大学院地域社会研究科, 准教授 (70573559)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地域おこし協力隊 / 地域活性化 / 田園回帰 / 移住 / 多業・複業 / 地方創生 / 関係人口 / 内発的発展 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年6月末時点で任期を終了した全国の地域おこし協力隊を対象とした質問紙調査を実施し、その分析に着手するとともに、逐次、これまでの研究成果の公表と社会還元を進めている。 まず質問紙調査では、総務省資料をもとに協力隊導入実績のある全都道府県・市町村(911自治体)の担当者に個別に連絡をし、このうち90.1%にあたる821自治体から1969名分の回答を得た。本調査の特徴としては、協力隊をはじめ従来の地域政策研究では接近が難しいため留保されていた、「地域活性化」の評価について積極的に回答を求め、その数値を被説明変数としたときの、自治体=地域側の受入態勢や隊員個人の属性が及ぼす効果を明らかにする点である。 結果として含意は次の3つである。1つは、2010年度の制度創設以降の事業効果の経年変化として、2012年度採用組以降、効果が伸び悩んでいることが明らかになったことである。2つ目は、受入態勢の充実度により「活性化」が高まる点に加え、業務内容が特定の組織に寄与するものであると事業効果が得られにくい点が明確になった点が大きい。さらに3つ目として、隊員個人の属性としては、一定の社会経験と地域とつながりがあることが、事業効果を押し上げる要因になっている点がはっきりした。 残された課題としては、本調査で注目していた隊員の任期終了後の働き方として「多業」のケースが予想以上に少なく(全体の3.1%)、本調査だけからはその意義について十分な分析がしづらくなったことが挙げられる。これについては、「多業」への注目が一部のメディアに誘導され全体像を捉え損ねている証として位置づけるとともに、ケーススタディによる「多業」の広がりにくさに対する接近を試みることとしたい。 研究成果の公表と社会還元については、協力隊にかんする全国研修会や各都道府県研修会などで研究成果を踏まえた政策的な含意を報告する機会を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定していた質問紙調査がすべて完了し事例聞き取り調査にも着手しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
事例聞き取り調査を進めるとともにケーススタディの分析結果を早期に公表する。その際、海外学会での公表機会も積極的に活用する。
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Causes of Carryover |
想定よりも調査票入力委託費が安価で済んだためであり次年度以降の事例調査や研究発表の旅費として活用する。
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Research Products
(7 results)