2018 Fiscal Year Research-status Report
Action Research for Transformation of Local Communities through the Prevalance of Parallel Career
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17K04108
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
平井 太郎 弘前大学, 大学院地域社会研究科, 准教授 (70573559)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地域活性化 / 田園回帰 / 地域おこし協力隊 / 関係人口 / 働き方改革 / チーム・ビルディング / ライフスタイル志向 / 地域内経済循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に2つの研究成果を挙げた。第1に、昨年度実施した地域おこし協力隊退任者むけ全国質問紙調査(対象約2000名、回収率91%)を集計・分析し、その成果を逐次、公表していったことである。得られた知見として特筆すべきは、特定組織の活動に従事する協力隊の成果が活性化面においても定住・起業面においても、そうでない場合に比べ有意に劣ることと、地域貢献志向以上に定住・ライフスタイル志向の方が有意に成果につながりやすいことなどである。まず、全体の調査報告書を所属機関の紀要に速報して関係行政機関に送付したうえで(2018年8月刊行)、日本社会学会大会テーマセッションでの報告に応募・採択され、地域おこし協力隊を含む若年層移住者・関係人口をテーマにしたセッションで報告・議論した。そのうえで、所管の総務省をはじめ岩手県庁、宮城県庁、福島県庁、大分県庁などの講演依頼に応じて逐次、解説を行った。さらに地域活性化センター機関誌に報告書の抄録を寄稿した(2018年12月)ほか、協力隊制度創設10周年記念書籍にその後の議論を加えた論文を寄稿した(2019年3月)。 第2に、先の全国質問紙調査結果からの仮説形成を踏まえた事例研究をアクション・リサーチとして進めた。具体的には、望ましい協力隊受入・フォローアップ態勢とそれを構築するプロセスに関する仮説検証を、青森県弘前市(2012年4月から実施)、平川市(2017年9月から実施)において既に構築された事例のさらなる改善を目的に進めたほか、2018年7月から新規に宮城県全域と福島県須賀川市において、受入・フォローアップ態勢の新規構築、既設の態勢の改善の双方を目指して実施した。結果として、特に弘前市と須賀川市で大幅な改善効果が見られ、2019年度以降もこれまで実施した対象事例では継続調査してゆくほか、福島県全域、岩手県県北地域にも拡大実施してゆくこととなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
量的調査にもとづく仮説形成と事例検証が順調に進展しただけでなく、地域おこし協力隊退任者による経験知の共有・蓄積・活用のアリーナ形成も進むとともに、それらの知見や方向性が国・総務省の施策にも反映され政策的な支援を受けられるようになったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまで得られた知見をできるだけ多くの地域に普及・浸透させ、さらなる知見の深化や改善にフィードバックさせるとともに、それらの知見を現場に伝達する主体として研究者やメディア、地域おこし協力隊現役・退任者などにより一層働きかけ、現場の状況の改善とより持続可能な地域社会の再構築に寄与していく。
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Research Products
(6 results)