2018 Fiscal Year Research-status Report
タイのコミュニティ政策と地域共同管理ー都市内分権と地域自治の視点から
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17K04114
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
マリー ケオマノータム 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (30241855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧田 実 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (20229339)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | タイ / コミュニティ政策 / 地域共同管理 / 地域住民組織 / カナカマカーン・チュムチョン / 地域自治 / 都市内分権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、タイの都市におけるコミュニティ・レベルでの住民の自治、すなわち地域自治の成立要件を制度と主体の両面から明らかにすることを目的とする。地域自治は、地域共同管理をめぐる住民の組織と活動の水準(「住民自治」の側面)と都市内分権をめぐる制度的保障の水準(「団体自治」の側面)によって、その存立が決定づけられる。タイでは1980 年代後半以降、都市自治体でのコミュニティ施策が展開され、地域の範域設定と住民組織の設立が進められてきた。本研究では、地域類型と地方制度上の自治体類型をふまえつつ、コミュニティ施策と地域共同管理との関係を定性的・定量的に分析することにより、タイにおける地域自治の成立要件を実証的に明らかにすることをめざす。 上記の研究目的を達成するため、第2年度である平成30年度は、平成30年8月にパタヤ特別市および地方中心都市であるチェンマイ市(北部)において、行政機関(関係政府機関、市役所等)、住民組織(地域委員会、任意の住民組織等)を対象とする聞き取り調査を実施し、地域自治の成立要件を制度と主体の両面から明らかにするための基礎資料を得た。また、日本社会学会(9月)に参加し、研究報告を行うとともに、研究交流に努め、知見の彫拓をめざした。 コミュニティ政策の理論的検討としては、内務省、自治体等の関係資料・統計の収集とその読み込みの作業を進め、タイのコミュニティ政策にかんする基礎的な情報の整理を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度の調査対象地域は、チェンマイ市(北部地方)とアユタヤ市(中部地方)であった。このうち、チェンマイ市については、昨年度対象のパタヤ特別市の補充調査とあわせて平成30年8月に現地調査を実施した。一方、アユタヤ市については、平成31年3月に実施予定であったが、タイ国において同月、軍事クーデター以来、5年ぶりに総選挙が実施されることになり、地域調査に適切な環境を確保できない見通しとなったことから実施を見送った。 このため、当初の計画から若干の遅延が生じていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり、平成31年度はコーンケン市(東北地方)および、上記の事情から昨年度実施を見送ったアユタヤ市の現地調査を実施する。 また、コミュニティ施策を実施しているタイ国内の全自治体(テーサバーン・ナコーン30、テーサバーン・ムアン178、計208 自治体、2016 年8 月8 日現在)を対象とする質問紙調査「自治体のコミュニティ施策について」を実施する。
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Causes of Carryover |
アユタヤ市の調査を上記の理由により延期したため、次年度使用額が生じた。これについては、今年度実施予定のアユタヤ市の調査に充当することで使用する計画である。
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