2023 Fiscal Year Annual Research Report
タイのコミュニティ政策と地域共同管理ー都市内分権と地域自治の視点から
Project/Area Number |
17K04114
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
マリー ケオマノータム 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (30241855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧田 実 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (20229339)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | タイ / コミュニティ施策 / 地域共同管理 / 地域住民組織 / カナカマカーン・チュムチョン / 地域自治 / 都市内分権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、タイの都市におけるコミュニティ・レベルでの住民の自治、すなわち地域自治の成立要件を制度と主体の両面から明らかにすることを目的とする。地域自治は、地域共同管理をめぐる住民の組織と活動の水準と都市内分権をめぐる制度的保障の水準によって、 その存立が決定づけられる。タイでは1980 年代後半以降、都市自治体でのコミュニティ施策が展開され、地域の範域設定と住民組織の設立が進められてきた。本研究では、地域類型と地方制度上の自治体類型をふまえつつ、コミュニティ施策と地域共同管理との関係を定性的・定量的に分析することにより、タイにおける地域自治の成立要件を実証的に明らかにすることをめざした。 具体的には、バンコク都、パタヤ特別市、アユタヤ市(中部)、コンケーン市(東北部)において行政機関、住民組織を対象とする聞き取り調査を行うとともに、タイの全都市自治体を対象とする「チュムチョン(地域)とカナカマカーン・チュムチョン(地域委員会)に関する自治体アンケート調査」を実施した。 この結果、タイのほぼすべての都市で地域社会開発政策が実施されており、それは一定の地域的単位を対象として総合的な行政的支援を行うコミュニティ施策の内実を備えていることが明らかとなった。カナカマカーン・チュムチョンは、地域社会開発のための行政的必要から組織化された「行政末端組織」であると同時に、住民の地域生活のために必要な包括的機能を担う「地域共同管理組織」であり、行政からもひろく「代表性」を認知された組織であるとの暫定的な結論を得た。 なお、本来の最終年度(令和2年度)は、コンケーン市の補充調査に加え、ソンクラー市(南部地方)での調査を予定していたが、コロナ禍により延期。その後、研究期間を延長したものの事態は好転せず、ほどなく研究代表者が病を得たため、やむなく研究を中止することとなった。
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