2017 Fiscal Year Research-status Report
ミュージアム・史跡観光を用いた多文化円卓対話の東アジアにおける効果研究
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17K04115
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
渋谷 百代 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (20451734)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 異文化対話 / 日本 / 東アジア / 歴史認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本と台湾・韓国・中国という東アジア地域の文脈における多文化対話の効果を検証するため、各国に流通する歴史的知識を題材に円卓対話を実施し、データを集め分析するものである。特に、異なる認識を持つ人々が対話を通じ他者の視点に触れながらどのように自身の持つ認識を再構築させていくかに注目して、①台湾人、韓国人、中国人の学生と日本人学生が歴史博物館・史跡を共に参観し、その経験を共有・議論する円卓対話、および②対話前後に持つ相手国に関する知識やイメージのインタビュー内容、の2種データを合わせて分析する。変化する国際関係や東アジア情勢の中で、日本人と台湾・中国・韓国の関係構築は今後ますます重要性を増す課題であり、有効な対話によるコンフリクトマネジメント方法の検討が求められているが、本研究はそこに貢献することを目指している。 29年度は、そのデータ収集のための準備として、コンフリクトマネジメント分野だけでなく日中韓台関係史や植民地支配資料を含めた文献研究を中心に行い、効果を測定するための調査アプローチの妥当性を検討した。また同時に、各調査地、特に台湾および韓国の調査協力者と打ち合わせし、研修プログラム計画の確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
29年度は、文献研究及び資料整理を踏まえて効果測定の調査方法を決め、質問項目を準備するとともに、研修ツアープログラム内容を海外協力者と打ち合わせる、ということを計画していた。これらについては、ほとんど29年度中に実施することができ、おおむね順調に進展していると言える。 一点、当初予定していた研修ツアープログラム参加者の募集については、対象となるのが学生のため年度をまたいだ募集が学籍異動等から難しいことが確認され、実際の実施年度に募集するように変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
30年度以降は、実際に参加者を募って実施する研修プログラムを使ってデータ収集を行う。まず台湾で実施し、次に韓国、最後に中国にて実施する(年1か国)。同時に、31年度からはワーキングペーパーや研究ノート、論文等の形で発表することを始める。 データ収集に当たっては計画当初は、日本人学生を台湾、韓国、中国での研修に日本から参加させ、あるいは台湾、韓国、中国の学生を日本に受け入れ研修参加をさせ、彼らからデータを収集しようと考えていた。しかしそうした海外研修参加者の経済的負担は小さくなく、軽減させることもできないため、既に留学等で現地に滞在している日本人、あるいは来日済みの留学生に協力してもらうことに変更した。それによって対話効果の測り方も見直し作業が必要になったが、Skypeなどオンラインを利用したコミュニケーションツールの活用も視野に、計画に近い形で実施できるを模索している。
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