2020 Fiscal Year Research-status Report
ミュージアム・史跡観光を用いた多文化円卓対話の東アジアにおける効果研究
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17K04115
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
渋谷 百代 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (20451734)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 異文化コミュニケーション / 東アジア / 日本 / ミュージアム / 歴史認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東アジアの文脈で異なる世界観を持つ人々が対話を通じ他者の視点に触れながらどのように自己認識・相手に対する理解を再構築させていくかを調べ、いわゆる認知・感情がコンフリクト状態にある中での「直接対話」の効果を検証する。データとして、日本と台湾、韓国、中国の学生がミュージアム鑑賞経験を共有した後に行う円卓ディスカッション及び個別インタビューから得たテキストを利用する。 本年度は、データ収集のための海外調査を実施する予定にしていたが、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大が収まらず、対策方針に応じて研究者本人及び学生の渡航を必要とする調査を一旦中止・延期することとした。その代替案として(本来の研究計画にはなかったことではあるが)インターネットを利用した調査手法のデザインに取り組んだものの、その手法を使っての本調査の実施をできるところまで整備をする時間が取れず、年度中の実施は断念することとなった。そのため、予定していたデータ収集や分析、その後の論文執筆によるアウトプットも一時中断、あるいは延期をすることを余儀なくされた。 本研究の一年間の成果としては、計画通りに進められていないことにより、“実績”として挙げることができるものはない。ただし、オンライン形式の会議などを使った新しい手法の研究に(想定外ではあるが)取り組めたことから、本研究及び他の研究で今後利用できる新しい知識やノウハウの蓄積はできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度からの持ち越しであった各国での本調査の実施によるデータ収集は、本年度も新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず海外渡航が困難である状況が続き、計画に従って実施することができなかった。またその後に予定していたデータ分析及び論文執筆も中断したままとなってしまった。 他方で、元々計画には入れていなかったが、研究手法の見直しと代替実施手法案の用意を行った。実験を重ねたが本調査が行えるような形に手順等を整理するまでには至らなかったたため、追加の作業が増えただけの形となり、結果的に遅れを取り戻すことはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度にあたるため、本来であれば研究発表というアウトプット展開までを完了させなければならない。しかし、研究計画自体著しく遅滞しているため、本研究期間中の目標をまず確実にデータ収集及び分析を完了するところまでとする。研究成果など様々なアウトプットに関してはその後展開していく予定だが、今回の研究期間に合わせて無理にするのではなく、たとえ期間終了後であっても質の良い論文として発表できるよう努めることとする。 データ収集の調査については、可能な限り当初に予定していた調査手法による本調査の実現を希望するが、世界的な感染症蔓延が今後もしばらくは続くと予想されるため、インターネット等を活用した新たな手法による調査でのデータ収集を次善策として実施する。 直接対話時とは得られるデータの質が異なるという事態は避けられないものの、今後の世界での国際コミュニケーションのあり方を考える時、オンラインでの対話の効果計測データによって、対話参加者の関係性やインパクトについて示唆できるものの意義はむしろ大きくなると考える。
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Causes of Carryover |
次年度使用額については、実施する予定であった国際及び国内における各地調査のための予算(旅費及び謝金等)・論文執筆のための校正予算であった。前年度からの持ち越し分を含め、本年度の研究計画にそれらを含めていたが、新型コロナウイルス感染拡大状況が続いたことにより中断・延期としたため、そのまま予算を使用することなく年度を終えることになった。 次年度は、本年度実施する予定であった本調査(主に代替手法による)の実施を目指すため、その際の資金とする。元々計画していた調査手法によらず、代替手法での調査実施の場合は、同時並行して各国調査を実施することが可能になるため、それらを確実に進めることとする。その際、旅費として必要な金額は少額にとどまると考えられるが、分析するデータのクリーニング等、当初代表者が一人で行う予定にしていた作業を一部協力者に分担してもらう必要性も出てくるため、謝金という形での予算執行に振り替える部分がある。またそれによって本調査データの分析が早く進めば、その後速やかに学会発表や論文執筆の段階に移行するため、校正費についても前年度の未使用分も含めて使用を予定する。
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