2023 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the Effects of Multicultural Roundtable Dialogue on Museums and Historical sites in East Asia
Project/Area Number |
17K04115
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Research Institution | Okinawa University |
Principal Investigator |
渋谷 百代 沖縄大学, 人文学部, 教授 (20451734)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 異文化コミュニケーション / 東アジア / 日本 / ミュージアム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東アジアの文脈で異なる世界観を持つ人々が対話を通じ他者の視点に触れながらどのように自己認識や相手に対する理解を再構築させていくかを調べ,いわゆる認知・感情がコンフリクト状態にある中での直接対話の効果を検証することを課題とした。検証の基礎となるデータは,日本と中国・韓国・台湾の学生が戦争に関するミュージアムの鑑賞経験を共有し合う円卓会議および参加者の個別インタビューから得たテキストを利用した。利用する各国ミュージアムの内容分析を行い,その結果をもとに学生の会議内やインタビューの発言を照らし合わせて分析し,また同一人物の発言を対話前後で比較する,という流れで検証作業を行った。 本研究によって東アジア間対話を通して異文化理解醸成という課題にいかに取り組むことができるか,を考える上で必要な知見を得ることを目指したが,新型コロナウイルス感染症拡大による各国渡航規制・行動規制の影響が長期に及んだことで,主に当初計画していたミュージアム鑑賞の同時経験や円卓会議のあり方を修正変更せざるを得ず,予定していた効果検証に十分なデータを収集することはできなかった。対面による対話の機会を失い,オンライン対話を代替としたことで,「空間の共有」「経験の共有」という条件を満たすことがかなわなかったためだ。しかし他方,デジタル世代の対面直接対話の効果について今後の検証の精緻化につながるデータの収集はできたと考える。加えて本研究を実施する中で,海外研究者との新たな交流も生まれ,ミュージアムとソフトパワーという視点から執筆した論文が国際的書籍に掲載された。 研究の最終年度にあたる本年度は、これまで収集したデータを整理しながら不足データについて可能な範囲で追加収集し,その研究成果を論文という形にまとめることを活動の中心とした。
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