2020 Fiscal Year Research-status Report
日本における難民の編入モードに関する定性的研究-インドシナ難民の事例から―
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17K04119
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
長谷部 美佳 明治学院大学, 教養教育センター, 准教授 (30624118)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インドシナ難民 / 社会統合 / エスニック・コミュニティ / 難民政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も引き続き、調査対象者の聞き取りを中心に行った。定住者の集住地域での、インドシナ難民当事者への聞き取り、寺院での調査などを実施。また、インドシナ難民の受け入れに関わってきた当時の支援者にも、複数名聞き取りを行った。ただし今年度は、コロナ禍ということもあり、実際に対面での聞き取り調査を実施することが困難となり、オンライン上での聞き取りを実行するまでの準備に時間が必要となったため、当初計画の聞き取りが実施できなかった。特に首都圏以外の対象者のところに調査に行くことは、緊急事態宣言が複数回実施され、いくつかの計画を見直さざるを得なかった。年度終盤には、オンラインでのインタビューも複数実施でき、今後は多少見通しが立っている。また同時にコロナ禍で、安全に配慮した聞き取りをすることに、インタビュー対象者の理解も進んでいるように見受けられる。 文献資料についても、例えば国会図書館が閉鎖になるなどの弊害が出た。そのため、オンライン上で収集できるものを中心に資料を収集せざるを得なかった。一方、本研究課題のインドシナ難民を受け入れていた政府の外郭団体への資料収集、聞き取りを実施することができた。特に、1978年からの機関紙をコピーさせていただく機会に恵まれ、政府のインドシナ難民定住政策の立場がわかる資料が収集できたことは、次年度の研究の幅を広げるものと考えている。 また、今年度は、本研究の前段階に位置付けられる研究成果の出版を行うことができた。昨年度から出版社の事情と、こちらのスケジュールの問題で、なかなか進んでいなかったものだが、今年度、書籍として刊行できたことは、今後の研究に向けた大きな布石になるものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究概要のところにも記載したが、コロナ禍の影響で、移動を伴う調査ができず、一次資料を集めることが非常に困難だった。そのため、聞き取り調査を基盤にした調査部分がメインを閉めている本研究所の大部分が、今年度は実施できない状況となった。また資料収集に当たっても、公的な資料を保管しているところ等の休館などもあり、こちらも計画通りに進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の状況は変わらないため、次年度も移動を伴う調査の困難さが予想される。年度下半期には移動ができるようになるものと考えながら研究計画を進めていくが、同時に対面ではない方法で聞き取りに答えてくれる対象者を探すなどの方法で、研究の遅れを取り戻したい。通訳者として働いてくれている人たちを、研究協力者(コーディネータ)として依頼するなど、これまで探すことが難しかった対象者に十分アクセスする方法を考えていきたい。 文献資料については、公共の図書館等も、一時的な開館、予約制などで利用が可能となってきているので、その予約計画を研究計画に入れ込むことも検討する。その上で、オンライン上で収集が可能なもの、所属先の図書館などを有効に利用して、資料収集に当たっていきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で、本研究のメインになる対象者への対面での聞き取り、聞き取りのための移動、対象者の聞き取りの音源の文字起こし等が、ほぼ未達で終わってしまったため、次年度使用額が生じている。コロナの状況次第という部分が次年度も継続するが、対面でない方法の聞き取り、通訳者等を協力者にした聞き取り対象者へのアプローチ等、今年度の困難さを解消する方法を模索しながら、研究を進めていきたい。
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Research Products
(1 results)