2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K04125
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
柏尾 珠紀 滋賀大学, 環境総合研究センター, 研究員 (70414034)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 農村女性 / 熟練労働 / ジェンダー / 技術 / 農業 / 農村 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、種苗生産における女性の熟練労働の実態、その技術の意味と背景、技術の共有過程および地域社会との関係を明らかにし、技術と労働をジェンダー的な視点から分析することで、種苗生産における女性熟練労働の社会的意義を解明することである。これにより、種苗生産における女性の熟練労働が地域社会の発展的展開に果たす役割を解明し、農村社会における女性研究を推進すると同時に、農業部門における女性施策の方向性を提示できると考えている。二年目は、一年目の成果をふまえて、地方都市農村集落においてインタビュー調査を実施し、予定どおり種苗生産における女性の熟練労働に関するデータを豊富化することに努めた。また同時に、昨年度までのヒアリング調査で得られたデータおよび統計データについて、郷土資料や歴史的文献、農業技術論の先行研究等をふまえて検討した結果、種苗生産における女性の熟練労働の技術の意味、技術が成立する過程や背景について考察を深めることができた。この考察は、大都市近郊農村における農業技術の特徴、歴史的都市である京都の特殊事情や、女性の農業労働市場の特殊性等を分析する糸口になると考えている。他方で、女性の技術伝授のネットワークは、都市近郊と周辺農村部においてはそれぞれ大きく異なっていること、ネットワークを利用する際の社会的背景も異なることが明らかにできた。女性の熟練技術の意味とその背景に関する考察は、「育苗農家の技術と経営」として研究会で報告をおこない、現在論文にまとめている最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画のとおり、これまでの調査データをもとに地方都市近郊において調査を進めて調査データを豊富化させた。それと同時に、引き続き郷土資料や他分野の農業技術の関連論文や歴史的文献を整理することができ、分析枠組みの構築も進めることができたと考えている。今年度は国際学会において成果の一部について報告をおこなうことができ、国内においても、女性農業者の技術に関する論考も発表することができた。成果を発表しながら、予定どおりに調査も進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年である今年度は、研究全体の取りまとめに着手する。成果をまとめるにあたり、必要に応じて補足調査を実施することで、極力データの精度を上げることに努める。研究成果の一部である現在執筆中の論考はでき次第投稿する。また、その他の成果については、秋に所属学会で発表をすることでブラッシュアップをし、それぞれの学会誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
二つの調査地が二度に渡り台風被害に見舞われた。調査地の災害復旧を優先し調査を延期したため、二地域でそれぞれ二回、計4回の調査を年度末以降に延期せざるを得なくなった。そのために差額が生じることになった。
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Research Products
(6 results)