2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K04129
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
水垣 源太郎 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (10294274)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地域移動 / 人口移動 / ジェンダー / 女性 / 地域労働市場 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の研究実績は、(1)国勢調査を中心とした人口移動データベースの構築、(2)京阪神大都市圏を事例とした関連要因分析、(3)隣接分野の研究動向の把握とテーマに関するトレンドの分析、の3つからなる。 (1)国勢調査を中心とした人口移動データベースの構築では、先行研究で利用されるアグリゲート水準の公開データである、国勢調査人口移動統計および住民基本台帳人口移動報告の統合を行った。その際、男女別の生年コーホートをキー変数として用いて、複数のデータセットを統合し、データベースを構築した。なお、このデータベース構築作業の一部を研究補助員に依頼した。 (2)構築されたデータベースを用いて、一般線形モデルにより、生年を基準とした移動特性とその性差および地域差の把握を試みた。これと並行して、人口移動の規定要因として地域労働市場に注目し、通勤雇用圏の階層構造と地域別労働需要供給に関する記述・分析を検討した。まず京阪神大都市圏を事例として、国勢調査の従業地集計を用いた産業別労働需要の市町村別経年変化をたどり、失業率の分析および生産性の県間格差と属性(年齢・性・学歴・産業)の関連分析を通じて、労働供給側の問題を検討した。 (3)隣接分野(人口学および地理学)の研究動向を把握するために、人口学研究、人口問題研究、地理学評論、人文地理、経済地理学年報の5誌における関連文献を渉猟するとともに、掲載論文のテーマをカテゴライズし、トレンド分析を行った。 なお、上記2については、平成30年9月15日に予定されている日本社会学会において報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の目標は、国勢調査・住民基本台帳人口移動報告の統合データベース構築と関連要因分析である。その際、当初計画にはなかった(1)地域労働市場データを含めたデータベースの拡張、(2)個人選択モデルへの精緻化を新たに行った。とくに上記研究実績のうち、(1)国勢調査を中心とした人口移動データベースの構築については、人口移動のみならず、地域労働市場に関する分析も視野に入れるべく、新たに産業・職業関連の市町村および小地域集計データも対象とした。そのため当該年度は、国勢調査データの統合に集中し、住民基本台帳人口移動報告の統合は次年度に継続して行うこととした。(2)構築されたデータベースを用いた移動特性とその性差および地域差の把握については、まず京阪神大都市圏をモデルケースとして、人口移動の規定要因としての地域労働市場の把握を先行して行った。これにより、当初想定していた一般線形モデルによる生年を基準とした移動特性とその性差および地域差の単純な把握にとどまらず、個人水準の移動選択モデルの構築が可能となる。(3)隣接分野の研究動向の把握については、人口学および地理学の分野を対象とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の目標は、SSM・JGSSの統合データセット構築と二次分析である。 (1)まず前年度に引き続き、国勢調査・住民基本台帳人口移動報告の統合データベース構築と関連要因分析を行う。とくに住民基本台帳人口移動報告および世帯ベースの標本調査である厚労省人口移動調査を統合データベースに加える。この作業の一部を研究補助員に依頼する。 (2)個人水準の公開データであるSSM、JGSSの利用申請を行い、入手したデータについては分析モデルに対応した整形とクリーニングを施したうえで、統合データベースを構築する。 (3)構築されたデータベースを用いた移動特性とその性差および地域差の把握については、個人水準の移動選択モデルを検討するとともに、これに基づいて全国を対象とした分析を行う。 (4)国内学会および国際学会での報告を計画するとともに、論文として投稿する。
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