2018 Fiscal Year Research-status Report
Transformation of forest resource usage and inter-regional network of seeking raw lumber under the forest conservation policy: A case study of charcoal making in Japan and Indonesia
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17K04134
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
増田 和也 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 准教授 (90573733)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 製炭業 / 特用林産物 / 森林保全政策 / マングローブ / マラッカ海峡 / スマトラ東岸 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年における日本の主たる木炭輸入先は、マレーシアとインドネシアである。そこで本年度は、マレーシアとインドネシアの製炭現場を対象として、原木確保を含む生産方法、流通、森林保全政策との関連について調査を実施した。マレーシア・ペラッ県マタン・マングローブ保全区では森林局のもとで計画的な製炭が行われ、持続的なマングローブ林の利用と保全が展開していた。一方、インドネシアでは、利用を禁ずるかたちでマングローブ林を保全する方向にあった。たとえば、リアウ州メランティ島嶼県沿岸部ではマングローブ製炭が盛んであるが、県庁関係者によると、近いうちにマングローブ林保護を目的として製炭業を禁じ、製炭業従事者を他の生業に移行させるためのプログラムが計画されているという。また、内陸部に位置する同州プララワン県パンカラン・クラス郡では、2009年より製炭業が新たに始まり、そこでは北スマトラ出身者が鍵になっていた。まず同地で製炭業を起こしたのは北スマトラ出身の移民であり、この者は北スマトラとのネットワークを活用して製炭のノウハウや出荷先を獲得していた。北スマトラの沿岸部ではもともとマングローブを現在とした製炭業が営まれていたが、マングローブ林保全政策により製炭業が禁じられていた。そこで、製炭技術を持つ同地域の住民がリクルートされ、出稼ぎのかたちでリアウ州内陸部での製炭業に従事していた。原木については、当初、アブラヤシ農園造成のために伐採され放置された丸太が利用されていたが、これらは枯渇状態となり、現在では放置ゴム園や二次林から特定樹種のみを選択的に伐採して確保していた。このように、マレーシアとインドネシアではマングローブ林保全の方向性が異なること、インドネシアの製炭業では原木の入手先や生産地が変化しつつも、古くからの生産地である北スマトラの技術や社会関係が活用されていること、が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、国内の製炭業の状況について、1)高知県以外の高級木炭生産地(和歌山県、宮崎県)における展開、2)木炭問屋・流通業者の動向、について調査する予定であったが、勤務校での業務の都合により、現地調査のためのまとまった時間を確保することができず、文献資料を収集するにとどまった。また、インドネシアとマレーシアにおける製炭業については、生産のみならず木炭流通についても調査をする計画であったが、流通業者とのコンタクトが上手くとれず、本年度内での調査実施はできなかった。本研究は、国内外の製炭業について、1)生産、2)流通、3)消費、4)森林政策、を相互に関連づけながら検討することを目的としているものの、1)と4)については計画どおり進捗している一方で、2)と3)については計画した調査項目についての情報を十分に入手できておらず、総合的にみると、やや遅れている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究では、国内外の製炭業のいずれについても、木炭の流通・消費に関する情報が十分ではないため、まずはこれらに関する調査を優先させる予定である。また、最終年度を迎えることもあり、生産や森林政策について、これまで収集した情報を再検討しながら各項目で不足している情報の有無を再確認し、情報が不十分な場合は適宜補足できるように現地調査の項目や実施対象を調整する。そして、年度の後半では研究成果を学会で発表できるよう、成果をとりまとめていく。
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