2017 Fiscal Year Research-status Report
地方創生の場としての自然エネルギー村展開に関する社会学的研究
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17K04135
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
保坂 稔 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 教授 (80448498)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 価値的保守 / 持続可能性 / バイオエネルギー村 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドイツのバーデン・ヴュルテンベルク州は、バイオエネルギー村がドイツでもっとも多いが、本年度は同州の4つのバイオエネルギー村でインタビュー調査を実施した(シュヴァーベン地方2村、バーデン地方2村)。それぞれの地点で村長やプロジェクトリーダーにインタビュー調査を実施し、バイオエネルギー事業参入の動機を聞くことができた。また、これまでの調査で、バイオエネルギー事業におけるキリスト教の役割の大きさが示唆されたことから、キリスト教関連団体のうちエネルギー担当者についてもインタビューした。さらに、バイオエネルギー事業コーディネート会社関係者や環境運動団体関係者にもインタビューすることができた。 合計20人に対するインタビュー調査では、「価値的保守」がバイオエネルギー事業の理念となり得ることが明らかになった。また、キリスト教団体のほうでも、自然エネルギー事業のための支援策を展開していることが判明した。具体的には、勉強会の開催、補助金制度の新設、技術支援などである。ドイツの保守的な地域では、自然エネルギー推進にあたって、キリスト教的価値観を背景とした「価値的保守」の存在が重要であるといえる。 また本研究では、高額なバイオエネルギー設備の導入方法に関するアイデアを聞くこともできた。たとえば、経費の明確化、初期投資を住民に強いないといった方法は効果的であり、日本で導入するにあたって知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バーデン・ヴュルテンベルク州で4つのバイオエネルギー村に加え、キリスト教関連団体、バイオエネルギー事業コーディネート会社でインタビューを実施することができた。交通アクセスが悪い農村地帯という条件下で、村長を含め20人にインタビューをすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
バーデン・ヴュルテンベルク州のバイオエネルギー村で調査したが、さらに論証力を高めるため、引き続き同州でインタビュー調査を実施する。比較対象として予定しているバイエルン州や、キリスト教関連団体を対象にインタビューを実施する。加えて、自然エネルギーを扱う大学のカリキュラムについても調査を実施する。
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Research Products
(1 results)