2019 Fiscal Year Research-status Report
医療専門職の「組織化された自律」の構造と変容の社会学的研究
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17K04137
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中川 輝彦 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (10440885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 朋弘 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (90295288)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 医療専門職 / 組織化された自律 / プロフェッショナリズム / EBM |
Outline of Annual Research Achievements |
日本を含む「先進国」社会における医療専門職(medical profession)の「組織化された自律(organized autonomy)」の変容についての研究を継続している。2019年度の研究概要は、以下の通りである。①2017-18年度に検討した理論枠組みを用いて、EBM(evidence-based medicine)の制度化に伴い上記「自律」がどのような変化を被ったのかを検討した。その成果の一部(専門家システムにおけるEBMの意味・用法に焦点をあわせた研究)は近日刊行予定である。②医療をめぐる政治を左右する一因であるといわれる「素人(lay people)」の医師への不信・怒りを視野に収めた理論枠組みを構築する手がかりをE.ヒューズの「職業(occupation)」研究に求め、これを検討した。その成果の一部は、学会発表を終え、2020年度中に論文として投稿・刊行予定である。③また倫理学を専門とする分担研究者を中心に、医療専門職に関わる倫理学研究の展開を検討した。その成果に関連する論考が刊行済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進展は順調だったが、2020年2月下旬以後、Covid-19の感染拡大のため、参加および研究報告を予定していた研究会への参加が困難になり、研究遂行にやや支障を来している。このため、このように判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、学会・研究会への参加を通じて、2019年度までの研究成果を展開・ブラッシュアップし、成果を刊行していきたい。ただ学会・研究会の開催状況は、引き続きCovid-19の流行状況に左右される。今後、web上でのこれらの開催も多く見込まれるため、対応できる体制を早急に整え、研究の進行に遅れが出ないよう努める。
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Causes of Carryover |
教育・入試業務が相対的に少なくなる2月下順から3月にかけて、学会・研究会への参加・報告を集中的に予定していたが、Covid-19の感染拡大により、これらに参加できなくなり、旅費として計上していた予算が使用できなかったため。2020年度は、このことを鑑みて、従来予定していたより、学会・研究会への参加を重点的に行う予定である。
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