2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K04140
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
菊地 夏野 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 准教授 (00381898)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | セクシュアリティ / ジェンダー / 植民地主義 / クィア |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、現代日本社会のジェンダーとセクシュアリティに関する主要な秩序としてポストフェミニズム研究を進めた。英米のポストフェミニズム論を渉猟し、それに照らして日本社会の諸側面を検討した。とくに大きな話題となったテレビドラマ等を取り上げ、分析材料とした。その成果は学会で報告し、現在論文としてまとめている。また、理論的な考察に関しては著書として発表した。 第二に、周縁的な現象・問題に対するアプローチとして、台湾調査に着手した。運動団体にヒアリング調査を行い、現地の社会のフェミニズムへの意識を探った。とくに性暴力とセックスワークに関して貴重な知見を得た。次に、国内のマージナルな場所として北海道のアイヌ民族をめぐる状況の調査に着手した。まずアイヌに関する博物館等の展示や市民活動との関連性について探った。道内の主な博物館及び資料館を訪問し、展示を実地見学した。及び所蔵資料も精査し、道内でのアイヌに関する一般的な認識を概観し、日本社会全体とのずれを確認した。さらに、現代日本のセクシュアリティとクィアをめぐる運動及び言説状況に関してインタビュー調査を行った。LGBTの可視化に関するプラスマイナス両面について市民活動家の知見を得た。 以上から、現代日本のジェンダーとセクシュアリティについて、人種や民族、階級等多側面にわたる権力構造から探り、最終的に性と植民地主義に関する理論的歴史的実証的把握の必要性を痛感した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実地調査および文献調査を進め、一定程度発表を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究目的、計画にもとづいてより確実に進めていく。
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Causes of Carryover |
調査成果について継続して分析中であるため。
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Research Products
(3 results)